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六災の魔女  作者: KingChan_yuu777
第0章 今宵を照らす月は、影が喰らう
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第五話


ガイは練習用のスタッフを構える。

 俺もガイから借りた、子供用の小さなスタッフを持たされるのだ。重杖(スタッフ)とは、魔法を発現するのに補助してくれる杖。


「さぁ、君から来てくれ」


そう言われて、身体強化(ブースト)を掛ける。

 俺が魔法を使った事に、ガイは驚いた表情で質問をした。


「え?あれ?それって、無属性魔法第二階身体強化(ブースト)だよな?」

「?...そうだけど?」

「詠唱はどうした?」

「詠唱って必要なのか?」


最近じゃ相性なしで魔法を使っている。

 最初は詠唱がないと、100%の力を発揮できないと考えるが、詠唱なしとありと比べても効果は変わらないと分かった。


「いつも詠唱なしなのか?」

「...うん」

「マジか。こりゃ天才だわ。この歳で無詠唱の領域に辿り着くなんて僕以上だな」


え?詠唱なしって難しいのか?この魔眼があってこそだが、魔力の流れが分かっていれば詠唱しなくとも、扱えるんじゃないのか?


ビリリッ


そして俺は稲弾をチャージする。

 影はここでは使わない、呪力の事は説明が難しい。それに影無しの俺はどこまでいけるか気になる、最近じゃ影に頼ってばかり。


「...あはは、アリスどこまで僕を驚かせてくれるんだい?間違っていなければ、それは雷かい?」

「そうだよ。パパの様にいろんな属性を使えないからね」


ガイのように複数の属性を使えない。 

 いや、正確には無属性魔法以外は何故か使えないのだ。


「いやいや、確かに複数属性持ちは凄い事だけど、雷はそれ以上だよ...それは()()()()()()だよ。空間魔法同様、伝説な魔法...」


神の怒りの力?


そして、俺は雷装を纏う。 

 

「行くよパパ」


 高速移動で俺はガイの背後に回り込み蹴りを入れる。だが、ガイは腕で受け止めたのだ。


「うん、魔法使いの弱点は身体能力が低い。どうやら、アリスはその弱点がないようだね。流石母さんの子だ」

「槍を放てよ。第二階魔法『岩槍(ストーンエッジ)』」

「?!」


刃の様に尖った岩が空中に現れ俺に射出する。

 だが、あらかじめにチャージしていた稲弾で弾き飛ばしたのだ。


岩槍(ストーンエッジ)の詠唱ってそんな短かったか?確か、土の神よ、我が敵を貫く槍を放てよ。じゃなかったか?


「何を驚いているんだい?詠唱を端折る事より、無詠唱で魔法を放つ方が凄いんだよ」

「そうか、岩槍(ストーンエッジ)ってそうな感じなんだね」


 チャージしていた稲弾を回転させて、ドリルの様に鋭くし高速で飛ばした。それは今までの2倍のスピードで射出している。


「んー?もしかして僕の魔法を見て真似たのかな?六道眼があるこそとは言え、初見でコピーするなんて凄いな」

「パパ、もっと本気でやって欲しいな。他の魔法も見せてくれると嬉しい」

「あはは、そうだね。なら、これはコピーできるかな?弾き飛ばせ。第二魔法『風爆(ボムウィンドー)』」

「?!」


速い、魔力の流れが見えなかった!


俺の目の前に風の塊が現れる。

 そしてその風は小さく爆発し、俺を吹き飛ばしたのだ。だが、受け身を取りすぐにガイに攻撃をするが、全て弾き返されるのだ。


魔法のプロに魔法じゃ勝てない...いや、良いのがあるじゃん


 ガイから借り全然活用していないスタッフを、剣の様に先を持ち構える。


「へぇ、見た事ない構え方だけど、様になってるじゃん。独学か?」


横で観戦していたラーラが小声で呟く。

 そしてガイはスタッフを槍の様に振り回す。


「うん、次は近接戦を見せてくれるのかい?」


槍の様に突くが、全て受け流す。


「凄いな剣士の才能もあるのか?でも、もうすぐ夕飯の時間だからおしまいにしようか。氷つけ第三魔法『氷河の石化(アイスロック)』」

「え?」


ガイから冷気が発生し俺を凍らせた。

 だが、そんな事より氷なんて魔法は知らない。魔導書にはそんな魔法は書かれていない。


「パパ、これは水魔法?」

「んー、違うよ。無属性魔法には一般型と特別型に分かれてるって知ってるよね?炎属性や水属性にもそれがあってね。一般型と派生型があってね。氷魔法は水魔法の派生型なんだよ」

「あはは、そうなんだ...そんな事より寒いや」

「あ!ごめんね!」


多分威力は弱らせているが冷気で凍らせて居る事に、慌てた様子で温かませてくれた。俺はプルプルと震えながら毛布を羽織っていた。


「才能はあるけど、まだまだだね」

「...」


容赦のない父親はあはは!と笑っていた。


「(悪いな、アリスには才能がある。だから、速く君に完全な敗北を味わせたかったんだ。昔の僕の様にならない様にね)」


 才能のある人間は力に溺れやすいとガイは知っていた。それはかつての自分であったからだ。同じ過ちをしない為に、アリスには痛い思いをさせないとダメだった。


「それにしちゃ、才能の限度っちゅうのがあるんだけどな...」

「え?なんの話?」

「いや...そう言えば、その状態で何分保てる?」


身体強化(ブースト)と雷装を纏って居る状態の事を言ってるのだろうか?


「同時なら4分ぐらい、ブーストだけなら20分、雷装...雷を纏って居る状態なら8分って所かな?」

「その歳で20分は恐ろしい才能だな」



『化け物め!』



ビクッ


脳裏にトラウマがフラッシュバックした。

 才能ある者は褒められる。だが、それは行きすぎてしまったら、化け物と恐れられてしまう。もしかしたら、ガイもラーラも化け物として見てくるんじゃないのか...


「流石俺僕の息子だな!凄いぞ!」

「...」


ガイは嬉しそうに頭を撫でる。

 一体、俺は何を考えてるんだ。ガイやラーラはアイツらなんかじゃない。


「アリス、剣には興味ある?」

「え?...まあ、少しは」


何故唐突にそんな質問をするんだろ?

 俺はそう答えると、ニンマリも満面な笑みを見せる。


「魔法と剣、どっちが好き?」

「えー、そりゃ魔法も捨て難いが、剣も好きだな。んー、どっちかと言われると難しい」


剣は...いや、刀はよく振っていた。

 前世の時は陰陽師であるが、父は剣を指導者であった。だから、子供の時から父から剣を叩きつけられていた。父は嫌いであるが剣は好きだ。


「ふふ、そっかー」

「なんなんだよ...」


 ニマニマと笑う母親に、少し不気味さを覚えるのだった。




第五話 『卓越した才能の持ち主』


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