第十九話
「すぐに沈めてやる」
風紀員野郎は巨人の腕を砂で作り上げてアリスを殴り飛す。だがアリスは上にジャンプして、風紀員野郎の様に影で巨人の腕を作り上げてぶん殴った。
影を使わない...って選択肢はねぇな。出し惜しみしていたら逆にやられる。
「それはなんだ?魔力を感じなかったぞ」
「俺って魔力を消すのが得意っすよ」
「そうか。それは大層なことだ」
奴は両手で鋭い刃物を作り、ハサミの様にアリスを挟みこむ。だが、レアリスは腕に影を纏わせて2つの刃を受け止める。
「流石、学園長に大口を叩くほどの実力だ」
「そうですか!」
俺はチャージした稲弾を数発奴に放つ。
「なっ?!」
確かに奴には直撃した。
だが、その直撃した部分が砂に変わり、俺の魔法がすり抜けたのだ。奴は自身の体を魔力に変化させた。
「おいおい、なんだそれは?」
体内にある魔力を使うのが魔法。
魔力が流れる動脈を魔力道を言う。俺の六道眼にはその流れがよく見えるのだ。そこから魔力が流れる放出するのが魔法。だが、奴は魔力道どころか、身体そのものを魔力に変化させている。
「一体どう言う仕組みだ?」
「初めて見るのか?そうか、なら味わえ。お前じゃ俺には勝てない」
雷装!
俺は脚に雷を纏わせて、超スピードで奴の周りを駆け走る。だが、奴は棒立ちのまま視線だけ俺を追っていた。
「?!」
俺は背後から木剣を薙ぎ払うとする、だが確かに当たる距離であるのに、俺の剣が奴の身体をすり抜ける。
「いくらやっても、お前の攻撃は当たらない」
「おいおい、もしかして無敵なのか?」
なら、数で追い込めばいい!!長月・月魄万円
俺は木剣を刃を円を描く様にそった。
それは高速の無数の斬撃が、一斉に奴を襲う。
だが、それでも奴に当たる事はなかった。奴の身体は砂となり、俺に向かってくる。
「ガハッ」
奴は俺の首を鷲掴みにして、壁に叩きつけたのだ。
奴の力だけではなく、砂の高速によって動く事はできなかった。
「大した事はなかったな」
「...アンタが悪いからな」
「あ?」
「極力破壊しない様に力を抑えてたのに...アンタが俺を本気にさせたんだからな」
俺はニヤリと笑う。正直この学校を舐めていた所があった。リン以外の奴にここまで追い込まれる事はないと思っていた。
ビリリッ!
アリスの全身に稲妻が落ちる。
奴が瞬きをし瞼を上げた時、捕まえていたアリスの姿が消えていた。
「...」
気づいた時には奴の頬に血が流れる。
バリンっと廊下のガラスが割れる音が響く。
「(いつの間に?)」
奴は背後の方へ視線を移すと、アリスの全身に紫色の稲妻がビリリっと渦巻いていた。
「...面白い!アリス、俺をどこまで楽しませてくれる」
「それはこっちのセリフだ。俺をここまでにさせたんだ。つまらない戦いは無しだ」
俺と奴は自身の得意魔法、雷と砂を腕に纏わせる。2人同時に腕に溜めた魔法を、放出させるのだった。2人の魔法がぶつかり合い、激しい爆発をする。
「...」
「...」
だが、お互いの魔法に割り込んで来た者がいた。
2メートル近くの身長に金髪のロン毛の顔の整った男。その男の筋肉付きは相当鍛えていると分かるほど太かった。
「ギザ、風紀員って者が校舎を壊そうとしてるんじゃない。それに君もだ」
おいおい、あの魔法に挟まれているのに無傷だと?一体何をした?それに、なんだこの威圧感は?!本気を出しても勝てる気がしねぇ...
「...」
「ん?...ガハハハハ!もしかして我に警戒をしているのか?!安心するない良い!我はこの学園の生徒会長ワルキューリって者だ!」
そうか!こいつが生徒会長か?!まさか初日で出くわすとは思わなかったな。
「俺はアリスです」
「うむ、敬語は不要。そう言うのは嫌いなんだよ。砂の風紀員と呼ばれているギザ=テレサ。これを説明してくれるかい?」
「...はぁ」
「おい!説明ぐらいしろ!」
ワルキューリはギザから説明を求めているが、面倒そうな表情を浮かべながら、無視をしてどこかに消えてしまった。生徒会長であるワルキューリもギザを追いかけに行ってしまった。取り残された俺は頭をかきながら、食堂に戻るのだった。
「わーお!」
食堂に入るの、無数の女子生徒がボロボロになりながら倒れている。犯人は誰なのかすぐに分かった。それは今でも肉を食っているリン。
「これは?」
「アリスと同じ理由だと思う。入学式のとかちょっと目立っちゃったからって」
「あー、この学園の先輩は暇なのかね?」
まぁ、実力は確かにあるけどな。
今回のアイツらとの戦いで、あの砂野郎を抜いて4回はアイツらの攻撃が当たった。流石って所だな。
「アリス、ボロボロだね〜強かったの?」
「まぁな。1人風紀員長とやる事になってた。マジで強かった」
「へぇ〜アタシも戦ってみたいな!」
まぁ、アイツより問題は生徒会長だ。
今の俺じゃ、本気を出しても勝てるビジョンが見えねぇ。
もっと、強くならないとな...
第十九話 『砂の風紀員』




