第十七話
「アイツか?大口叩いた野郎は」
「7席だからって調子に乗ってんじゃねぇよ」
「カグラビュール?聞いた事ない家名だが貴族か?いや、家名持ちの平民の可能性も...まぁ、仲良くする価値はないか」
おいおい、ひどい言われ様だな...まぁ、この感じ久しぶりだな。前世の時もバケモンとか色々と言われてたもんだからな。あの時もずっと1人...いや、1人俺に懐いてたガキんちょがいたな。アイツ元気してっかな?
「アリス〜、今日午前までらしいから、どっか肉食べに行かない?」
それに今はもう1人じゃないしな。
俺の横にはリンがいてくれている。全世界に嫌われようが、リンさえいてくれればそれだけで充分。
「そうだな」
そんな事より、本当にこの学校ってすげぇな。
なんだこの教室は...キラキラしすぎて逆に集中できるか?あの額縁高そうだな...うわ、あの花瓶も絶対高いだろうな。
「やぁ!輝く卵たちよ!」
黒髪ロングに、エメラルドの瞳を持つスーツの女性が勢いよく教室に入ってくる。
教卓の前に立ち、自己紹介を始めるのだ。
「私は錬金術専門教師のサエルだ。今年はこの組を掛け持つことになった。よろしく頼むぞ。さて早速だが第一会場に向かう、この組には入試試験での25位以内に入っている実力者揃いだ」
確かA組は25名の上位成績者、B組とC組50名ずつの中位成績者、D組からF組は残りの下位成績者に分かれている。上位成績者ほど設備などが豪華になっている。それ以外のクラスの生徒に優越感を与えるとともに危機感も覚える為、『下の落ちたくない』、この最底辺から抜け出したい』と気持ちが強まる。やり方は嫌いだが実用的だ。
そしてサエルの案内により第一会場に向かった。
「それで持って、君達の実力を見てみたい。それがこの学園の自己紹介だ。まずは十傑第一席ノエル=ラクセウス、君は魔術師志望だね。何か魔法を見せてくれないか?」
「...」
黒髪のボブに青のワンポイントメッシュ、そして瞳は青黒い色。ノエルは無言で手を上げる。
「ほぉ、属性別同時発現か...それに、無詠唱」
炎、水、風、土の魔法を同時に使った。
無属性とならそんなに難しくはないが、魔法を同時に発現するのは難しい。さらに属性別となるとさらに難易度が上がる。ガイですら少し苦戦するレベル。だが、あの子は顔色変えずに使っている。魔法の心得は相当なものだ。
それから続くように、その生徒の得意分野を見せる。魔術師志望者は魔法、戦士志望者は自分の武器を使って鉄の打込台を斬りつける。
「次は...おっと、君がアリスだな!話は聞いている。私の事情で入学式の時はいなかったが、どうやら大口を叩いたようだな。どれ、お前だけ特別だ。私が作ったゴーレムを倒してもらう。これを倒せなかったら、罰を与える」
「えっ?」
あーあ、本当にやらかしちゃった。自業自得だけど、めちゃくちゃ面倒くさくなっちゃった...
サエルはガラス瓶を地面に落とした。
それによりガラスが割れて、中の液体が溢れるのだ。そこから5メートルもある岩の人型が現れる。
「これが錬金術だ。もし興味がある者は私の授業を志望してもいいぞ」
「へぇ、錬金ってそんな感じなんだ。他に何ができるんですか?」
「そうだな。魔法適性がなくとも、自信を強化したり回復できたり、あとは...まぁ、大抵のことはできるぞ」
「そう...人を生き返らせることは?」
「...それは禁句だ。錬金術でも魔法でも、人を生き返らせる事は禁句だ」
「そう」
禁句って事はできないって訳じゃないんだな。
「それで、あれを倒せばいいだな?」
「ああ、君が出来ることを全て見せてもらうぞ」
さて、今手元にあるのは学園から支給されている鉄の剣。これが通るか分からないな。
俺はゴーレムに飛び込み、剣を薙ぎ払う。だが、刃は鋼鉄の肌によって弾き返される。
「硬った」
「あはは、そうだろ!ゴーレムは剣心殺しと言われてるからな。剣士にとってゴーレムは相性最悪だ」
影を纏えば砕く事はできる。
だが、影はあまり人前で使いたくない。あれは魔法じゃないからな。説明するのが面倒だ。それに剣を砕くのも見栄えが悪いな。なら、俺が選択する事は剣心としてじゃなく、魔術師として倒せばいい。
ビリリッ
「稲弾」
俺は両手を合わせて、間にサッカーボールぐらいの稲弾を作った。俺は野球のように稲弾をゴーレムに飛ばした。
バリリリッ!バカァっンン!!!
「マジかよ。戦士志望って聞いたんだけどな...それにまた無詠唱かよ」
ゴーレムの胴体は消し飛ばされる。
剣士志望と聞いていたサエルは、今みてきた魔術師志望者よりも威力が高い魔法を使っていた事に驚く。
「これは面白い!」
「面白い?なら、次の子にもゴーレムを使ってやってくれ、もっと面白いのを見れるぞ」
「え?違って...リンかい?」
ずっと羨ましそうに見ているリンにもゴーレムを戦わせる。
やはり、威力だけなら俺の魔法より超えている。リンが放った炎はゴーレムごと、第一会場の天井を貫くのだった。
第十七話 『錬金術師』




