第十五話
「終わった...」
「今年は行けると思ったのに...」
「また、来年も頑張るか」
合否発表の日、校門の前に建てられている大型看板に受験者番号と名前が書かれていたら合格。
俺とリンは、もちろん名前が書かれている。
「アリス!合格だよ!」
「まぁ、前もって教えてもらってたからな」
すげぇな。こうも全員が集まるとめちゃくちゃ多いんだな...これだけで平民クラスだけなんだろ?流石、入学して卒業出来たら未来が約束されている名門校だ。
って言っても、合格したからって気を緩めてはいけないんだっけ。この学園には留年とかないらしく、落第してしまったら即退学のことだ。
「卒業できるんかな...」
「大丈夫だよー。ちゃんとやってれば卒業できる!」
「それだと良いんだが...」
「合格者はこのまま第一会場に行ってもらう。そこで入学手続きと入学式の日を確認してくれ」
茶髪のポニテの女性は合格者を案内する。
そこは平民クラスと貴族王族クラスの合格者が5つの列に並んでいる。茶髪のお姉さんは、俺らの方へ駆け寄る。
「君がリン=ウォーカーだな」
「え?うん」
「王族の者が平民クラスを受けた事は、本来合格を与えられないんだが。今回は特別に合格を渡した。次はルールを破らないと約束してくれ」
「分かった!」
「王族でもあっても、教員には敬語で話したまえ。今はまだ学園の者ではないから注意で済むが、入学式を迎えたら、罰が下されるぞ」
「うん...はい」
「...」
ん?王族?誰が?リンが?...いや、貴族なんだろうなって思っていたが、まさかその上の王族?!え?俺王族に手を出しちゃったの?
アリスはある晩にリンと夜を共した、それは一回だけではなく、この1週間2回も手を出してしまっている始末。あまりこの世界の事を知らないが、平民の俺が王族に手を出したら、どうなるか分からないアリスではない。
んー、まぁやった事はしゃーない!
だが、アリスはあまり物事を考えるタイプではなかった。いわゆる能天気である。
「リン=ウォーカー様、アリス=カグラビュール様、こちらは、学園説明書と制服、教科書に地図でございます。もし学生寮をご利用であれば、リン様は女性寮、アリス様は男性寮に午後の5時までに手続きをすませてください」
前にも言った通り、この学園には学生寮が存在する。それは無償で提供しているそうだ。だが、この学園は成績主義な所がある。
成績によってこの学園からの待遇が決まる。
その中でも代表的なのが寮。成績が悪すぎるとぼろぼろな寮となり、まるで牢屋のような寮。中間あたりだと共有スペースなどがある、普通の設備で他の生徒と2人部屋となる。そして上位の成績だと、設備も良く豪華な部屋ってより、寮ってより街と、言った方が近い。貴族街のようなエリアに一軒家に住める。
「くれぐれもアリス様は女性寮に、リン様は男性寮に踏み入れないでくださいね。懲罰対象となってしまうので」
この学園の懲罰は相当キツいらしい。
それに卒業にも響く事がある事そうだ。
「あっ、待ってください!申し訳ありません。アリス様とリン様は入試トップ10以内に入っていますので、エリュシオン寮に生活することが可能です」
エリュシオン寮?...あー、豪華な寮がエリュシオン寮、普通の設備の寮がアンスロポス寮、おんぼろ寮がオーヴァム寮と呼ばれている。
「本当ですか?」
てか、トップ10以内なのか!そりゃ、嬉しいな。
「はい。アリス様は序列6位、リン様は序列10位となっております」
思ったより低いな?俺らの日の時はそんなに強そうな奴なんていなかったのに...他の日にすごい奴がいるのか。
「まぁ、実技だけであれば、2人とも満点ですが、筆記の方が、そのなんて言うから、低いと言うのか...」
あっ、そりゃ筆記の方は自信ねぇわ。
俺ってそんなに頭良くないからな...
まぁ、ただで高級街みたいな所に捨てるならいいか!
「エリュシオン寮だと、どこに迎えばいいんですか?」
「エリュシオン寮でしたら、こちらから手続きができます。今空いているのはこちらの物件となっています。どうしますか?」
まるで不動産屋だな...
んー、やっぱり学園から近いのがいいよな。げっ、全然ないじゃん。そりゃ先輩がたが使ってるか。
「リンはどうする?」
「んー、アリスに任せる」
それって、そう言う事だよな。一応確認したけど、そう言う事でいいんだよな...
「あの、今空いている中で一番広いのってどれですか?」
「そうですね。一番広いのでしたら、学園から結構遠いですが、この3回建になりますね」
「お、それでいいです。それともう一つ聞きたいのですが、これって1人一軒だけなんですかね?2人で使うのはダメですか?」
「いえ、校則的には大丈夫だと思いますが...あっ!なるほどそう言う事ですね!わかりました」
どうやら分かってくれたようだ。
まぁ、手を出したなら責任を取らないとダメだよな...てか、なんやかんやあやふやにしてるけど、俺とリンって付き合ってるんだろうか?
「どうしたの?」
「...いや、なんでもない」
聞くのが怖いな...
「それでは、今車の手配をしますので、外でお待ちください」
学園内で車?!!どんだけ広いんだよ!
「あはは、本当すげぇな...リン、行こうか」
「え?!アタシのはアタシが持つよ」
「いいよ、どうせ軽いし」
俺は、自分のとリンの荷物を持って車に向かうのだった。
明日からは入学式、前世に経験できなかった学校生活。これからの学校生活に胸を躍らせていた。
第十五話 『あやふやの関係』




