第十三話
「わーい!合格だ!」
「いや、先に知れるなんてこうも気が楽になるな。合格発表は来週なんだろ?この街を観光でもしてみるか」
「うん!まずは剣屋見に行きたい!」
なら、あの変な剣がいっぱい置いてある店にでも連れて行こうかな.。
俺達は試験を終えて、色々と手続きをした後に一足早く試験会場を後にする。学園都市と言われる事もあり、先輩だろうか?ちらほら制服姿の人達が多い。観光客、商人などもいる。
「えっと」
俺はパンフレットを確認する。
本来なら受験の1週間前に入国して、宿に泊まるのが当たり前だそうだ。俺やリンの様な当日に学園都市に入国する受験生は少ないらしい。
そして、入学したら学生寮とやらに、無償で提供してくれるそうだ。なかなか分厚い待遇で嬉しいものだ。
そして、まず俺が今日やる事は宿を探す事。
いくら、合格と言われていても、まだ学園の者ではない。
「なんか、良い宿ないかなー」
「そうだな。ちょっと知り合いに聞いてみるか」
「え?知り合いいるの?」
「いや、まぁ少し知った仲だけだ」
俺が向かった先は、三節棍を買った鍛冶屋。
店の名前を見ると、ラグナロクと書いてあった。
...こんな、名前だったんだ。
「おっちゃん」
「ん?おー!さっきの兄ちゃんじゃねぇか!どうした?何か不備でもあったか?」
「いや、あれは物凄く良い者でしたよ。おかげで合格になりました!」
「ん?合格発表にしちゃまだ早くねぇか?」
「試験監督の人に、合格だって言われました」
「お!兄ちゃんすげぇ奴だったんだ。一年に2〜3人はいるんだ。合格発表する前から伝えられる奴。そんで試験監督は誰だったんだ?」
「えっと、サラゲって人です」
「マジか!」
おっちゃんは物凄く驚いた表情をする。
そしてすぐにゲラゲラと笑い始めるのだった。
「ガハハハ!あれに認められたって訳かよ!兄ちゃん、すげぇな!」
背中を強くバシバシと叩きながら、ゲラゲラと高笑いしていた。
「それで、俺達宿を探していまして、なんか良い宿とかありませんか?」
「あ?宿を探してるのか?あぁ、そうだな。うーん、俺の女房が開いてる宿はどうだ?合格祝いとして、サービスしてやれって伝えとくぞ」
「え?!良いんですか!ありがとうございます」
「おう!それに敬語は辞めてくれ。どうもむず痒くて嫌いなんだ」
「そうで...そうか。おっちゃん、ありがとな!」
「おう!これから大変だと思うが、頑張れよ!」
2人は力いっぱいに握手を交わした。
「アリスアリス!これ凄い!刃が3つに分かれてるよ!」
リンは刃の先が、3つある剣を持ってきた。
なんだこれ?どうやって鞘にしまうんだ?
「お?なんて別嬪さんな嬢ちゃんだ。お前の彼女か?」
「へ?違う違う!その、えっと...友達?」
「なんで疑問系なんだ?まぁ、良いや。嬢ちゃん、それ買っとくか?」
「んー?面白そうだけど、いらない!アタシにはアタシの剣があるから!浮気はしない!」
「あはは、そうか...え?」
「どうしたんだ、おっちゃん?」
いきなり驚いて固まり始める。
「いや、なんでもない。気のせいかもしれねぇ。まぁ、宿はここから右に向かえば、黒鳥の宿がある。そこに行ってくれ。電話で伝えとくわ」
「ああ、助かる」
おっちゃんは地図を広げて、宿の場所を教えてくれた。アリスとリンが宿を出た瞬間、急いで机の中にある図鑑本を手に取り、パラパラと本の中身を見た。
「...やっぱり、あの嬢ちゃんが持ってたのは、国宝級の竜剣ヴィクトリアじゃねぇか。なんでそんなもんを?あれはネレス王国の国宝剣だぞ?あの、嬢ちゃんは一体何者なんだ?」
リンが腰にさしている、両手剣が国の国宝だった。その頃、アリス達は黒鳥の宿に辿り着くのだった。
「あのー、すみません」
扉を開けると受付の前に立っている、さっきのおっちゃんの様に筋肉がガッチリしたおばさんがいた。
あっ、そういえばおっちゃんの名前を聞いてないや。
「お?ウチの旦那の紹介の子達らか?」
「はい。ラグナロクのおっちゃんから紹介されました」
「そうか!そうか!どうやら、試験に合格したんだって?!」
物凄い声の大きい人だ。
まるでスピーカーごしで喋りかけている様だな。
「そうだ!そうだ!まずは自己紹介をしないとな!アタイはマイ!!よろしくな!!」
「あっ、はい。自分はアリス=カグっ?!!」
手を差し出してきた事に、握手をしようとしたら、手をガッチリと掴まれて上下に身体が動かされた。片手で俺を持ち上げた事に、驚いてしまった。
「あはは!軽いな!!今日はいっぱい食え!!それじゃ、アスカロンで餓死するぞ!!」
マイさんは自分達の部屋まだに案内してくれた。俺達は改めて自己紹介をする。
そして俺はその部屋を見て驚愕するのだった。
キングベッドやんけ...
「あの、1人にしちゃ大きくないですか?」
「え?1人?君の彼女と寝るのに小さいか?」
「...」
リンの事を言っているのか?
「いえ、リンとは」
「あっ!悪い!アタイまだやる事があるんだ!また後でな!!料理は下の者が運さ!!今日はアタイの旦那のご馳走だ!」
「あ、待って」
部屋を二つにしてくださいと言いかける前に、どこかに消えてしまった。
「わぁーい!大きなベッドだ!」
リンはキングベッドに飛び込む。
はぁ、しゃーないか。俺は床で寝よう。
っと、ドアを閉めて荷物を置いて、床に座り込むのだった。
「アリスー、何してるの?ベッドに休まないの?」
この子は何を言っているのだろうか...これでも俺は男だぞ。リンの様な美人が部屋2人っきりだと、色々と我慢出来なくなる。マジで勘弁して欲しい...
「...先にシャワーしてくる」
あ、ヤバい。
ベッドに上に美少女がいる。マジで我慢出来なくなる。男は狼だぞ。
アリスは色々と我慢できなくなる前に、シャワー室に逃げ込むのだった。
第十三話 『国宝剣』




