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第四話 いざ、冒険者ギルドへ!

 時は遡り、丁度レミリアが眠りから覚め、自室を出た頃・・・


「へぇ、あのお寝坊さんはやっと起きたか。どれだけ僕を待たせれば気が済むんだろうね。てか、起きるタイミング悪すぎ」


レミリアと見た目変わらない年齢の少女は荒れ果てた荒野を歩きながらため息を吐く。


「ここから魔王城までだと気が遠くなるほど遠いし、まあレミリアもすぐにくたばるようなやつじゃ無いし気長に向かいますか」


 少女は向かってくる数体の魔物を徒手空拳によって軽々葬っていく。そんな少女の表情はこれからが楽しみで仕方がないといった表情をしていた。





 時は戻り冒険者ギルドにて、とりあえずリリアの受けた依頼を処理するために受付へと向かった。その間私に対してものすごい視線が送られてきていたが、特に気にしなかった。


「あ、リリアさん。魔王城跡地の調査ご苦労様です。と、そちらの方は?」


 受付にいた緑のベレー帽を被った受付嬢が見慣れない私を見て首を傾げている。


「えっと、魔王城跡地で出会いました」


 受付嬢はリリアを見て苦笑いを浮かべている。


「その件も含めて少しお話を聞いてもいいですか?」


「はい、依頼なので問題ないです」


 私を置いてとんとんと話が進んでいく。


 それから私たちは奥の部屋へと案内された。室内に入るとまず最初にインクの匂いが鼻腔を突き抜けた。それから室内には向かい合うようにして赤を基調とした豪華なソファーが向かい合っており、その間には木でできたテーブルがあった。テーブルにはところどころ職人によって彫られた跡があり、一つの芸術作品のようになっていた。周りを見回してみると、なにやら資料のようなものが本棚にずらっと差し込まれている。奥には執務に使うであろうこれまた立派な机がどっしりと置かれていた。もちろん机の上には大量の書類。


 あれを見ていると魔王軍で働いていた頃を思い出すなぁ。書類仕事は全部同僚に押しつけたのもいい思い出だ。ん?私魔王軍でなにしてたんだろ。適当に人間たちの街に行って買い食い、書類仕事を同僚に押しつけて武術や能力の鍛錬。人魔大戦が激化してきてから自室に篭って爆睡。うん、今考えてもやってることがおかしすぎる。なんでこんな私に部下たちは着いてきてくれたのか本当によくわからない。


 私たちは受付嬢にソファーに腰掛けるように言われ、素直に従う。それから『少し待っててくださいね、今飲み物を入れてきます』と言ってから受付嬢は小走りで部屋を出て行った。


 私は隣でソワソワと落ち着かなそうにしているリリアに話を振る。


「そういえばリリアは魔王城周辺の調査の依頼を受けてあそこにいたって言ってたよね?」


 ここにくるまでの道中で何故あそこにいたのかを私は聞いていたが、そこまで詳細には聞いていなかったため再度質問をしてみる。


「はい、魔王城跡地の調査依頼は定期的にあるんですけど、依頼の指定ランクが一番低いFランクなんです。だから私はこうして定期的に受けているんです。といっても、まだ今回が二回目なんですけど」


 あはは、と乾いた笑みを浮かべるリリア。


「ん?でも魔王城の調査するのになんでそんなに低ランクなの?」


「あぁ、あの地は人魔大戦後から調査されてきたんですが、特になにも起こることがなかったので低ランクの指定になったんです。元々は指定ランク最高のSランクだったとのことですけど、私はその時産まれていないので...」


 なるほど、私がぐーすか寝ている間にも地上では周辺調査を行なっていたと。それで私の寝床が見つからないってうちの同僚の隠蔽魔法すごいな。調査は最初Sランクの冒険者が行なっていたらしいし。


「ただ...」


「?」


 リリアはじーーっと私を見つめる。


 私の顔に何かついてるのかな?


「今回の調査でレミリアさんと出会いましたので、調査が始まって以来ですね。何か発見されたのは」


「え、魔王城にあった金銀財宝貰ってないの?」


 確か宝物庫には大量の金銀財宝と武器とか多数のレア装備が保管されていたはず。それを人類は回収していない?


 私は眉を寄せて険しい表情をする。そんな私を見てリリアは少し遠慮がちに口を開く。 


「えっと...どうやら魔王がやられる寸前で魔王軍の四天王の方が宝物庫にあったものを全て掻っ攫っていったらしいんです」


「なるほどね、あの大量のものを持って行けるのは四天王の1人、『永久機関インフィニティ』の二つ名を持つルイかな」


「なんだか凄そうな人ですね」


「まあ実際すごいよ。二つ名の由来は永遠に尽きることのない魔力を持っていて、数多あまたの魔法を放つことからつけられたんだよ」


「ほぇー、ますます凄そうです!」


 この子は慣れた相手だと意外とおしゃべりになるのかな?


 それから私たちはあれやこれやと話していると、受付嬢がお茶とお菓子をお盆に乗せて運んできた。


「お待たせしました!お茶とお菓子です!このクッキー、王都で限定販売されているやつなんですよ。ギルドマスターが王都のギルドに行った時に買ってきてくれました!」


「え、それ私たちに出して大丈夫なの?」


 そういうのって職員同士で食べるものだと思うんだけど。そう思うのって私だけ?


「えぇ、問題ありません!ささ、お茶でもしながらリリアさんのお話を聞かせてください」


 受付嬢はソファーにどっかりと座ってからお茶を啜る。


「えっと、受付のお仕事は大丈夫...なんですか?」


 リリアがクッキーに手を伸ばしながら問いかける。


「大丈夫です。今は休憩中なので」


 私たちの相手をしていたら休憩にならないんじゃないか?というのは言葉には出さないでおく。


 それから私たちは依頼の報告という名のお茶会を始めた。


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