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第九話 屋敷と元同僚

 門をくぐるとそこはまた別世界のように感じた。何がさっきと違うかと言われれば一番違うのは雰囲気だと思う。さっきは動物の鳴き声や風によって木々や葉の擦れる音が耳に届いていたが、現在はそんなことはなく、私たちの息遣いと雑草を踏み締める音しか耳に届いてこない。流石にこれはおかしい。


「これは、結界?」


 私は一度止まってから周囲を見回す。集中すれば微かに感じ取ることのできるくらいの魔力が屋敷周囲に張り巡らせられていた。


「結界?そんなものがあるんですか?」


 リリアは私を見上げながら問いかけてくる。


「うん、結界にもいろいろな使い方があるんだけど、この結界はおそらく外界と隔てるために使われているものだと思う」


「それってどんな効果があるんですか?」


「うーん、外界と隔てるってことはまあ外と内を区切るって言う意味だから外から侵入が出来なくなるんだと思う」


「それだと私たちも侵入できなくないですか?」


 そう、そうなんだよ。そうなんだけど...。


 私はどう説明するか少し悩んでから口を開く。


「結界って用途ごとに使い分けるんだけど、これも憶測になっちゃうんだけど、あのゴーレムを倒したことで屋敷へ入る権利を手に入れたんじゃないかなぁなんて」


「うーん、あのゴーレムはここを守っていたんじゃないんですか?」


「私も最初はそう思ったけど、あのゴーレムの言葉を聞いて少し疑問に思ったんだ。だってそうじゃない?守ってるなら最初から防衛なんちゃらレベル5で来ればいいじゃん。なのにそうしなかったってことは多分相手のレベルを試すためなんだと思う」


 これはあくまで私の考えだ。作った本人に聞かないとこればっかりはわからない。


「ま、そんなことより屋敷の探索しようよ!」


「はい!」


 私たちは再び歩き出し、正面の大きな両開きの木製の扉に手をかけて開ける。開けるとギギギギっと音を立てて開いた。錆び付いているのかな?


 扉を開くとまず目に入ってきたのは階段だ。階段はそのまま二階へと続いており、そこから左右に廊下が分かれていた。


 玄関ロビーだろうか?扉を開けた先はとても広く、ここでパーティを開こうと思えばできるくらいには広かった。この広間から続く扉が四つある。正面に階段を挟むようにして二つ、左右に一つずつ。


「それじゃあ探索開始!!」


「お、おぉぉぉぉ!」


 リリアが私の掛け声に応えるようにして少し恥ずかしそうにして天に拳を突き上げた。





 一通り見て見たが、2階には部屋が向き合うようにして八つもあった。一階から二階へと伸びる階段は昇ったところで左右に分かれており、それぞれ四つずつ向かい合うようにして部屋があった。そして一階には屋敷に入って左手には食堂があり、長いテーブルがボンっと置かれていた。長いテーブルの先にも扉があり、入ってみるとそこは広いキッチンだった。玄関扉から右手に応接室で豪華なソファーが向き合うようにして置かれていたが、長年使われていないのか、両方とも埃をかぶっていた。それ以外には棚があり、その中には食器類が置かれていた。階段の左側は書斎って感じだった。書物はどれも古く、ジャンルも様々だった。小説から研究の成果を報告するための書類、魔物図鑑など。上げたらキリがないくらい書物が置かれていた。ここも埃がすごいため、使うなら掃除しないとダメそうだ。


 そして最後、まだ確認していない扉がひとつある。そう、階段の右側にある扉だ。ここまでは特に普通の屋敷って感じだった。何かあるならここなんじゃないかと私は踏んでいる。


「それじゃあラストの部屋、行ってみよう!」


「はい」


 リリアはコクリと頷いてから私の後に続いて部屋に入った。部屋に入るとそこはまさに研究室って感じの部屋だった。大きな机の上には様々な実験器具が散らばっており、床には何かを書き殴った書類があちこちに落ちていた。


「ここも元は誰かが使ってた感じがありますね」


 リリアは周囲を見回してから口を開く。だが、私はそれらを見て少し違和感を感じた。 


「ここ、最近まで人がいたんじゃない?」


「え?」


 私の発言を聞いてリリアは目を見開いている。


「だってそうじゃない?その辺に落ちてるものとかよく見て見なよ」


 リリアは床に落ちている書類や机の上にある実験器具を凝視しているが、結局わからなかったのか首を傾げた。


 私は答え合わせをするために一枚の書類を床から拾い上げてヒラヒラさせる。


「ここにあるものだけ他の部屋とは違って埃をかぶってないんだよね。それってちょいと不自然じゃない?」


「言われてみれば...」


 リリアは再び周囲を見回す。


「本当だ。埃かぶってないですね」


「調べるならここなんだろうね。何かありそうだし」


 私は部屋を調べるために歩き始める。すると、私が丁度部屋の中央くらいに到達した時、私の前方に魔法陣が展開される。


「ふぇ、な、なんですか!?」


「これは...。危害はなさそう、かな?」


 私は瞬時に魔法陣を見て害があるかないかを判断する。どうやらこれは何かを投影するための魔法陣っぽい。


 リリアは涙目であわあわ言いながら私の腕にしがみついている。


『やあやあ初めまして諸君。私の名はリッタ。元魔王軍四天王にして真理の探求者(トゥルースシーカー)の二つ名を持つものさ。よろしく頼むよ、まあ短い間だけどね』


 リッタはそう言ってからバチコンッとウィンクする。


 私は少々めんどくさいやつがきたなぁなんて思ったが、心の中では旧友との再会に少し感動していたのだった。


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