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66 女神フューリーの思惑

本日より1週間くらい毎日投稿します。


─数百年前─


 神界には複数の神様が存在している。

 神様には神格というのがあり、下級神、中級神、上級神、統治神というものがある。


 そして世界も複数存在している。

 複数存在している世界を管理できるようになるには、最低でも上級神にまで神格を上げなければならない。

 さらに各々の世界の管理ができる上級神は1人ずつと決まっていた。


「なぜ私よりも先にイスフィリアが……」


 神界で同時期に下級神となったイスフィリアとフューリーは、始めは仲が良かったのだが、イスフィリアがフューリーよりも先に上級神になったことで嫉妬するようになった。


 イスフィリアは真面目な性格であったため、全ての神を統治している統治神からも気に入られていたことで上級神への昇神が他の下級神よりも圧倒的に早かった。

 それに比べてフューリーは他の下級神たちを見下し、中級神及び上級神に対しても失礼な態度をとっていた。

 それに加えて不真面目であり、統治神だけでなく他の神様からも忌み嫌われていたことから、昇神が遅れてしまった。


「イスフィリアなんて愚図で鈍間な癖に……」


 自分自身が他の神様にどう思われているかなんてことは棚にあげて、フューリーはイスフィリアのことを憎むようになった。

 なぜなら、フューリーだけはイスフィリアが統治神に上手に取り入ったことで昇神が早かったと思い込んでいたからだ。


 それから数百年が経ち、フューリーも神格が上がり世界管理ができる上級神まで昇神できたが、現在存在している全ての世界はすでに各々の神様達が管理していた。

 フューリーが管理を任される世界が存在しないことから、先に昇神して一つの世界の管理を任されているイスフィリアが憎くて仕方がなかった。


 そこで、フューリーはイスフィリアが管理する世界を破滅させ、統治神にイスフィリアが世界の管理もできない出来損ないだと思わせれば、神格を降格させられて屈辱を味わわせることができると考えついた。


「これならイスフィリアに復讐できるわ……」


 上級神になってから詳細に調べてみると、イスフィリアの世界には攻略が難しい迷宮が3つ存在している。

 全てを攻略することで、世界の中心であるモイライという場所に辿り着けるらしい。

 そういえばイスフィリアの神界での本当の名前は……。

 ……いや、イスフィリアもその名前は名乗っていないみたいだから別にいいか。


 この迷宮はイスフィリアが女神になったことで新たに創ったらしい。

 それに攻略後に辿り着くモイライには世界神核(ワールドコア)があり、世界の魔力源になっているみたいだった。

 これが破壊されると世界の魔力の供給が絶たれて、最終的には人類が滅ぶみたいだ。


 これは使えると思った。

 しかし、私が干渉していることがイスフィリア或いは他の神達に気が付かれると、私の存在も危うくなる。

 となると、私が直接干渉しないように異界から別の者に頼めば可能かもしれない。


◇◆◇


 そこから長い時間を掛けて、各世界間にある時空障壁に歪みを生じさせて、地球からものすごい悪感情を持ちながら自殺していった佐伯圭太という者の魂をフューリーのところへ呼び寄せることに成功した。


「あの佐伯圭太とかいう奴、まんまと騙されていたわね」


 フューリーは佐伯圭太に世界を救って欲しいという虚言を依頼することで、間接的にイスフィリアの世界を破壊させることにした。

 

 それに伴い、イスフィリアに勘づかれないよう佐伯圭太の存在は女神からは把握ができないようにした。

 それと様々なスキルを与えることで早々に佐伯圭太が強くなれるようにした。


 なぜなら、調べてみると迷宮にはかなり驚異的な魔物が揃えられている。

 イスフィリアがなぜこのような迷宮を創ったかは分からないが、この世界の者では攻略は困難であった。

 そのため佐伯圭太が迷宮を攻略するためには必要なことだった。


 それにしても佐伯圭太……、この世界ではケータか。

 英雄になりたいなんてそんな戯言……。

 私に騙されて結局この世界を破滅させることになるなんて夢にも思わないでしょうね。

 あとはケータを観察しながらイスフィリアの世界が破滅するまで楽しませてくれればいいわ。


◇◆◇


「もうクロト迷宮を攻略しましたか……。思ったよりも早かったわね」


 ケータを転生させてから、3ヶ月ほどで1つの迷宮が攻略された。

 驚異的な速さではあるが、クロト迷宮は3つの迷宮のうち最も簡単だ。

 まだラケシス迷宮にアトロポス迷宮がある。

 次の迷宮はこうも上手くいかないだろう。


「さぁケータ、その調子よ。もっと私を楽しませてちょうだい───」




─イスフィリア視点─


「え、クロト迷宮が攻略された!?」


 この世界の管理を始めて約700年。

 一度たりとも攻略されたことのない迷宮が攻略された。


 一体誰が……とも思ったが、攻略者の姿が見えない。


「なんで見えないの!?」


 こんなことは初めてのことだ。

 世界の管理者である私の力なら、人々の状況が全て把握できる。


 ヒナタさんをこの世界に転生させた時から不思議な感じがあったが、もしかしたらヒナタさんの魂がこの世界に迷い込んだのは偶然じゃなかったのか……?


 だとすれば私の管理する世界に異物が入り込んだことになる。

 でも、迷宮を攻略することは悪いことではない。


 そもそもあの迷宮を創ったのは、全ての迷宮を攻略したご褒美に女神の加護を与えるためだ。

 逆に言えば、この異物が全ての迷宮を攻略すれば私がモイライで直接会いに行ける。


 それまでは傍観した方がいいかな……。

 でも姿が見えないのだけが本当に不思議だ。

 この理由だけは解明した方がいいかもしれない。


 ヒナタさんにもこの前、異常事態が起きたことは伝えてあるし何とかなるかな。

 とりあえず、この異物が私の世界の害になっていないか様子を見ることにしよう。


 ───本当に私の世界で何が起こっているの……?


読んでいただきありがとうございます!


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