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16 ウルレインの街の危機

 

 みなさんこんにちは。ヒナタです。


 私はオーク討伐を終え、ラタコ村からウルレインへと戻っている最中です。


 それにしても発情スキルとは……。

 いらないスキルを手に入れたもんだ。

 サーシャの前で発情したら私はどうなるんだろうか。

 理性を保てず襲っちゃうかもしれないよね。

 気を付けないと……。


 ……いや、待てよ。

 そもそもスキルは自分の意志で発動させるものだ。

 今までの威圧だって、気配察知とかも自分で発動させていた。

 ってことは発情も自制が効くということだ。

 このスキルは年齢によって役に立たなくなったおじいちゃん用のスキルではなかろうか。


 さて今は街に帰っているところだがどうも上が気になる。

 上と言っても空だ。空に何匹かの魔物が飛んでいる。

 あれは……。ワイバーンか?

 ワイバーンといえば、竜の一種で下級竜(レッサードラゴン)とも呼ばれ、主に空からの攻撃で相手を翻弄する。

 人間は空を飛べないので、ワイバーンの討伐は困難とされている。

 私を除いては……だが。


 とりあえず討伐した方がいいよね。

 飛行魔法(フライ)を使いながらの戦闘も経験してみたいし。

 よし、やってみよう。


「フライ!」


 私は飛行魔法(フライ)でワイバーンのいる空へと上昇する。

 ワイバーンも私に気がついたようで、こちらに向かってきた。

 とりあえず試してみたいことがある。

 前回の予想でこの飛行魔法で作られた魔法障壁は防御結界も伴っているはずだ。

 ワイバーンに突撃されても私に攻撃が届かないか検証してみよう。

 そして予定通りワイバーンが私に向かって体当たりをしてくる。


「うおっ!」


 思ったよりも体当たりが強くて弾き飛ばされたが、予想通り防御はできてる。

 魔法障壁を超えて私への接触はなかった。

 これは素晴らしい固有(オリジナル)魔法だ。

 さて、検証もできたところでワイバーンの討伐に移ろう。


「ロックショット!」


 1体のワイバーンに向かって岩石弾(ロックショット)を放つ。

 胴体に直撃したワイバーンは絶命しそのまま落下していった。

 あと4体。


 その後も岩石弾(ロックショット)を使っていたが、さっきので学習したのか右往左往に素早く動き私を翻弄させる。

 私も空を飛びながらの戦闘には慣れていないため、飛行魔法(フライ)を行使しながら岩石弾(ロックショット)でワイバーンに的確に照準を合わせるのが難しい。


 ……こうなったら仕方ない。

 空を飛ぶのにも常に魔力を消費し続けているから、大きな魔法は使いたくなかったけどこのままだとジリ貧だ。

 魔力枯渇を覚悟して相手を蜂の巣にしてやる。


「ロックショット!」


 100発以上岩石弾(ロックショット)を同時に展開し、ワイバーンに向かって放つ。

 さすがに広範囲に展開させたことでワイバーンも逃げきれず、4匹に見事命中して落下していった。

 さすがにやばい。ごっそり魔力を持っていかれた感じがした。

 頭がクラクラしてきたため、急いで地上に降りて飛行魔法(フライ)を解除する。

 そして初めに倒したワイバーンに近寄り強奪スキルを使う。

 他のワイバーンは蜂の巣になってしまったので、たぶん強奪が使用できないだろうと思ったから。

 そしてスキルを確認するためにステータスを開く。


名前:ヒナタ

種族:人族

年齢:15歳

職業:魔法使い

HP :126/145(+9)

MP :11/289(+7)

スキル:水魔法LV5

    風魔法LV6

    火魔法LV5

    土魔法LV6(+1)

    無限収納

    威圧LV4

    毒霧LV1

    毒耐性LV3

    麻痺耐性LV2

    気配察知LV5

    気配遮断LV2

    隠密LV4

    発情LV2

    遠視LV3

ユニークスキル:強奪


 ステータスを確認すると、魔力はギリギリだったみたいだ。

 オーク討伐からの飛行魔法(フライ)岩石弾(ロックショット)を過剰行使させたから当然か。

 そして新しいスキルの遠視を手に入れた。

 名前からして遠くが見えるようになるのだろう。

 早速試してみよう。


「おおお!」


 これはすごい。望遠鏡を通して見ているみたいだ。

 300メートルくらい先がはっきり見える。

 これからの索敵にも使えそうなスキルだ。


 さて、ちょっと疲れちゃったから少し休憩しよう。

 でも何故か休憩している間にも、上空に2体のワイバーンが通り過ぎる。

 え……? ワイバーン多くないか?

 もしかしたら何かあったのかもしれない。

 休まずに街に戻った方がいいかもな。




 私は急いでウルレインへと向かった。

 辿り着くと衛兵も冒険者も何なら騒いでいる。

 なんか前にもこんなことあったな。

 私の岩石嵐(ロックストーム)の後に……。

 あの時は私のせいだけど今回は違うよね。

 冒険者ギルドの中へと入ると、人が大勢いて2階からギルマスが冒険者に向かって話していた。


「今、ワイバーンの大群がこのウルレインの街に向けて飛行中だと情報が入った! この街を守るために冒険者のみんなには協力してもらいたい。ワイバーンはBランクの魔物だ。できるだけ多くの冒険者が必要だが、上空に飛んでいるワイバーンを倒すのは困難を極める。そのため、遠距離攻撃ができる魔法使いや弓使いは積極的参加してもらいたい。そしてそれ以外の者たちは魔法使いと弓使いの防衛に回って欲しい。報酬もたっぷり用意するから全員で協力してくれ」


 ギルマスが熱弁をしている。

 なるほど。ワイバーンの群れがこの街に来ていたのか。

 それならあの数のワイバーンにも納得する。

 でもこの街にはまだ被害が出ていないようだ。

 ということはワイバーンの大群はいつ頃ここに到着するのだろうか。

 ちょっとギルマスに聞いてみよう。

 私は2階に上がり、ギルマスに尋ねる。


「ギルマス。ワイバーンはいつ頃ここに到着するんですか」

「あ〜、ヒナタさんか。報告だと2日後と聞いている。どうもここから北西にあるバリスという街がワイバーンの群れに襲われて、その後はこちらに向かって飛んできているみたいだ」


 なるほど。2日後ということは、私が見たのははぐれワイバーンだったのかもしれない。

 それにすでに被害に遭ったバリスという街はワイバーンによって壊滅でもした可能性もある。

 このウルレインでも同じことが起きていい訳がない。

 私がワイバーンの群れを討伐してもいいんだけど、英雄扱いせれても困るなあ。

 何より魔法のことは誰にも知られたくない。

 どうしたものか……。


「ギルマス。少し相談があるんですけど……」

「うん? なんだ」

「ここじゃあ、ちょっと……」


 他の冒険者が見ているところで話すわけにはいかないので、私はギルマスの部屋に向かった。


「ワイバーンの群れなんですが、私が先行して討伐してきてもいいですか?」

「なんだと!? ヒナタさんが魔法使いとして優れているのは分かってはいるが、流石に上空にいるワイバーンは無理だ」


 私はアイテム袋から取り出すように偽装して無限収納からワイバーンを1体取り出す。


「なんだこれは!?」

「ワイバーンですよ。魔法でかなり傷だらけですけど。今日の依頼の帰りにワイバーンが5体いたので、ついでに倒してきました。これなら信用いただけますか?」

「なんと……。お前は何者なんだ」

「普通の魔法使いだとは思っていますよ。でも私は目立ちたくも、英雄扱いされるのも嫌なので、できれば1人で動きたいんです」


 ギルマスは困った表情になる。


「しかしだな……。ヒナタさんにだけそのような負担を掛けられん。それに万が一討伐できた場合、他のものにはどのように説明すればいいんだ……」

「そんなの、ワイバーンはこの街とは別方向に飛んでいきました。とでも説明してください」


 ギルマスは再度困った表情になる。


「やはり、ヒナタさんだけに任せてしまうのは気が引ける。そこで提案だ。2人組パーティーでBランクの女性冒険者がいるから、その者たちを君の護衛として同行させることにしたい」

「その人たちは口は堅いですか? 私の秘密を絶対に守れる人であれば構いません」

「分かった。その者たちにもそのように伝える。こちらで手配するからヒナタさんはここで待っていてくれ」


 ギルマスはそう言ってから立ち上がり部屋を出て行った。

 なんとか交渉はできたけど、単独じゃないのはちょっと面倒だな。

 私にいきなり共闘は無理だから。

 それに口は堅くてもBランク冒険者なら変なプライドとか持ってそうで嫌な予感がする。

 「獲物を独り占めする気か!」とか言われないよね?

 そうなったら私は絶対に単独で突っ走るよ?

 そしてしばらく待っているとギルマスが2人の女性を連れて入ってきた。


「この者たちを同行させようと思う」

「あたしはBランク冒険者のカレンだ。職業は剣士をやっている。ギルマスから話は聞いた。よろしくな」


 赤毛で長身のカレンが挨拶をしてくる。

 第一印象は綺麗な人だと感じた。

 そして何より胸が大きい。

 胸当ての防具を装着していても分かる。

 あれは凶器だ。


「同じくシャーロットです。職業は弓使いです。よろしくお願いします」


 私と同じくらいの身長だが金髪美少女。

 とても愛くるしい容姿をしている。

 でもサーシャの方が好みだ。

 そしてシャーロットのお胸はカレンと違って控えめだ。

 ……だが、それもいい。


「はい、私はヒナタと言います。よろしくお願いします」


 私は2人に頭を下げて挨拶をする。

 良かった。Dランク冒険者の指図には従わないような口ぶりではない。

 これならこの2人を連れて行っても安心だ。

 そこからは3人で話をするためにギルマスの部屋を出た。

 そして2人には私の宿に来てもらい、カレンとシャーロットに今回のワイバーン討伐について話した。


「ふーん。つまりは基本、戦闘はヒナタがやるということだな。あたし達は万が一の時のための護衛ってことか……」

「わ、私はそれで構いません。ヒナタさんにお任せしたいと思います」

「無理を言っているのは分かっていますが、1人の方が討伐がしやすいんです。それに一番守ってもらいたのは、今回の討伐で私が使う魔法を誰にも話さないことです」


 2人は不思議そうな顔をしている。


「そこが一番不思議だな。ワイバーンの大群を倒せるような魔法が使えるのに秘密にして欲しいとか」

「ただ目立ちたくないだけです。それで約束は守っていただけますか?」

「ヒナタが言うならあたしはそれで構わないよ」

「私も誰にも話しません」


 交渉成立だな。

 あとは魔力が回復するまで待つだけだ。

 寝て起きたら明日の朝には全回復しているだろう。


「それでは出発は明日の朝にしたいと思います。北門に集合しましょう」


 そう言ってカレンとシャーロットは部屋から出て行った。

 よし、明日は少し忙しくなるぞ。

 ご飯を食べてすぐに寝よう。

 

 私は明日に備えて、早めに眠った。

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