表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/108

14 魔法の勉強をしよう


 みなさんおはようございます。ヒナタです。


 昨日は魔法について自分がかなり規格外なことを知り、少し現実逃避してしまった。

 しかし、一晩寝たら昨日ほどの悲壮感はなくなった。


 というわけで、今日は昨日に引き続き、世の中にある魔法について学んでいきたいと思います。


 早速私は魔法書を持ち出して宿を出た後、森の奥で練習することにした。

 森の中に到着した私は周囲に人がいないことを確認した後、魔法書を開く。


「ふむふむ。なるほど……」


 昨日の続きから読み進めて分かったことは、どうやら魔法スキルにはレベルによって扱える魔法が異なるようです。

 何で魔法スキルにレベルがあるんだろうと疑問だったが、レベルが高いほど行使できる魔法の種類が増えるみたいだ。

 ちなみに魔法スキルのレベル別によって行使できるのは次のとおり。

 

 LV1〜3:初級魔法

 LV4〜6:中級魔法

 LV7〜9:上級魔法

 LV10:神級魔法


 このようにレベルによって行使できる魔法の種類が変わる。

 上級魔法まで使える魔法使いはごく僅かで、神級魔法はもはや迷信とまで言われているそうだ。

 ちなみにレベルによって魔力量が増えるわけでもないみたいなので、レベルが高くても魔力量が少なくて上位の魔法を使えない人も多いらしい。

 魔力量を増やす方法は諸説あるが、魔力枯渇をさせることや魔法だけで魔物を討伐するなどがあるみたい。このような内容の論文があったがあまり信憑性はないような記載もされている。

 

 ちなみに私の今のステータスを確認してみる。


名前:ヒナタ

種族:人族

年齢:15歳

職業:魔法使い

HP :136/136

MP :282/282

スキル:水魔法LV5

    風魔法LV6

    火魔法LV5

    土魔法LV5

    無限収納

    威圧LV4

    毒霧LV1

    毒耐性LV3

    麻痺耐性LV2

    気配察知LV5

    気配遮断LV2

    隠密LV4

ユニークスキル:強奪


 魔法レベルは風魔法がレベル6、火・水・土魔法がレベル5だから、中級魔法までは使えるということが分かる。

 昨日の情報から私の魔力量は多いみたいだから、中級魔法は使えるだろう。


 別の魔法書を開き中級魔法について調べる。

 火魔法だと火槍(ファイヤーランス)炎槍(フレアランス)火壁(ファイヤーウォール)というものがあるみたいだ。炎槍は火槍の上位魔法だと思う。こうなったら炎槍を試してみたい気持ちもあるけど、流石に森で火魔法を行使するのは火事になってしまうため、発動するのはやめておこう。

 水魔法だと、水槍(ウォーターランス)水刃(ウォーターカッター)水壁(ウォーターシールド)というものがある。

 土魔法だと、土槍(アースランス)土壁(アースウォール)があり、風魔法なら、風刃(ウインドカッター)風壁(ウインドシールド)があった。


 うーん……中級魔法は攻撃防御に特化した魔法になるみたいだ。

 色々と魔法を行使するにあたっての詠唱も書かれているけど、私の空気弾(エアショット)とか岩石弾(ロックショット)が便利すぎて、結局この2つの魔法を多用しそうな気がする。それにたくさんの種類の魔法が使えると周囲に知られると、厄介ごとに巻き込まれる可能性もあるから自重した方がいいのかもしれない。


 そして魔法書をさらに読み進めていくと、どうやら固有魔法というものがあるみたいだ。魔法書に書いているのはごく一般的な魔法で、詠唱さえすれば誰でも行使できるものらしい。

 固有魔法になると、術者の魔法技術によって発現させることが可能になり、特に詠唱をすることなく発動させることができると書かれている。

 過去に頻繁に行使されていたのは、火魔法で爆発するような火球(ファイヤーボール)だったり、風魔法を使って空を飛行できたり、水魔法で氷を作れたり、土魔法で落とし穴を作ったり……などあるみたいだ。

 ということは、私の空気弾(エアショット)岩石弾(ロックショット)は私自身が考えて編み出した固有魔法になるということだ。そう考えると固有魔法って便利だな。それにこの中で一番気になるのは風魔法で空を飛ぶことかな。ぜひやってみたい。


 早速、試してみよう。どういうイメージでやればいいのだろうか。

 とりあえず風を足元から空へ向けて吹き上げるようなイメージでやってみよう。


「おおお……! いでっ!」


 2メートルくらいは飛べたけどバランスがかなり悪いからか持続させるのが難しい。

 もっとこう、自由に羽ばたける様な飛行をしたい。どうやら思ったより飛行するのは難しいのかもしれない……。


 その後も、試行錯誤しながら何度も挑戦しては失敗を繰り返した。

 どんなに練習しても途中でバランスを崩して落下してしまう。

 そもそも風魔法を足元から吹き上げさせるのがダメなような気がしてきた。練習すれば慣れると思ったけど私の運動神経では無理だ。前世も運動は苦手で中学では美術部、高校では帰宅部だ。別のイメージを試した方がいいのかもしれない。

 今度は風を空に吹き上げるのではなく、地面に向けて下方向へ風を送ってみる。イメージはロケットみたいなものだ。


「いけっ!」


 すると……飛べた。やった成功だ。さっきより遥かに安定している……が、機動性が足りない。

 上に向かって飛ぶのはいいが、そこから左右への転回ができない。新たに行きたい方向とは逆に風魔法を起こさせるがバランスを崩してしまった。

 やっぱり難しいな。飛べなくはないけど、戦闘では使い物にならない。


 そこから、いろいろ試して日も沈んできたところでようやく飛行に成功した。


「できたー!」


 試行錯誤して辿り着いた方法は、自分を包むように風魔法で作った結界のような魔法障壁を展開し、全方向に常に一定の風力を魔法障壁から発動させ、行きたい方向と逆方向に強めの風力を注いであげれば機動性も良くなり、バランスも崩れなくなった。

 まさしく私の魔法技術によって可能になった方法だ。魔力消費がエゲツないから長時間の飛行は無理そうだけど。しかしこの固有魔法は飛べるだけでなく風魔法による防御結界としても利用できているみたいだ。常に外方向に風力が働いているため、多少の衝撃は緩和できる。素晴らしい魔法が完成したものだ。

 飛行魔法が完成した私はウキウキ気分で宿へと戻った。


 宿の机で魔法書をさらに読み進めた。するとさらに興味を惹かれる記述があった。なんと混合魔法というものがあるらしい。2種類の魔法を同時に発動させて混合させることで起きる固有魔法だ。

 例えば、火と風でドライヤーのような温風を出せるとか、水と火を混合させることですぐにお湯を作ることができるとか。

 これで私の私生活がとても便利になる。何故なら簡単にお風呂ができるからだ。

 森で作ったマイホームのお風呂は水魔法で浴槽に水を張ってから火球(ファイヤーボール)を放り込んでいた。

 さらにドライヤーに似た魔法も行使できるとなると、お風呂上がりに髪を乾かすのに便利だ。

 よし。決定だ。明日は混合魔法をやってみよう。私はわくわくしながら眠るのであった。




 翌朝、目覚めるとすぐに支度をして森へと向かった。


 まずお湯を試してみよう。

 えーと、どういうイメージだろう。混合魔法ではないけど2種類の魔法を同時に展開させることはすでに可能だから、魔法を発動させるときに火球(ファイヤーボール)を覆うように水球(ウォーターボール)を発動させれば案外いけるかもしれない。

 早速やってみよう。


「あちちちっ!」


 うん。できたにはできたけど温度調節が難しい。

 もう少し水球(ウォーターボール)の中に発動させる火球(ファイヤーボール)を小さくしてみよう。


「あ〜、温かい……」


 成功だ。

 これで浴槽さえあればいつでもお風呂に入れる。便利な魔法を覚えたぞ。

 そして次はドライヤーだ。

 とりあえず失敗して髪を燃やすという事態を避けるために、近くにあった木に向かって行使してみる。

 ボーという音を立てて、木に風が送られる。


「これは、どうなんだろうか……」


 実際やってみて木は燃えないが、発動している風が温かいのか分からない。

 なので温風を出しながら、手をかざしてみる。


「あ、あったかい……」


 どうやらドライヤーも成功したらしい。

 うん。これで私の私生活はさらに充実しようだ。


 さて最後にやるのは、昨日寝る前に偶然思いついた混合魔法を使って敵をオーバーキルできそうな攻撃魔法の練習をしてみる。

 その名も『岩石嵐(ロックストーム)』。

 ネーミングセンスがないのは気にしないで。


 これは水・風・土の3種類を使った混合(ミックス)魔法で、通常の嵐だと水と風で再現できそうだが、それに加えて土魔法で作った小さめの岩石も嵐の中に同時に作っちゃえば、オーバーキルできるんじゃねって考えたわけだ。ということで早速試してみよう。出力は多少抑えてね。


「ロックストーム!」


 目の前に高さ10メートルくらいの竜巻ができた。水が吹き荒れものすごい勢いで薙ぎ倒された木々がボロボロになって上空へと舞い上がった。


「これは、危険だ……」


 岩石嵐(ロックストーム)が発動された場所は更地になっていた。

 魔法の威力は抑えたつもりだけどかなりの威力だ。これは魔物の大群が来た時にでも使おうかな。

 さて、試したい魔法が成功したので街に帰ろう。

 



 街に着くと衛兵や冒険者たちが何やら騒いでいた。

 どうやら森の奥で物凄い轟音がして、砕け散った木々が空に舞い上がっていたのを門番の人が見たらしい。

 私も森から帰ってきたため、衛兵から何か知らないかと聞かれたが「気が付きませんでした」とシラを切った。


 ごめんなさいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ