その1
僕の名前は福卦 洸。
現在、中学三年生の受験シーズン真っ只中で今日もこれから塾に行く予定だ。
「はあ。別に塾なんて行かなくてもいいんだけどな。」
受験シーズンに入った時に親から塾に申し込まれてしまい、毎日嫌々ながら塾に通っている。
正直、僕は塾に行く必要がないと思っている。
なぜなら、既に僕が行く予定の高校は決まっており、更にいえばもう推薦で入学が確定しているからである。
「なんで今から塾なんかに行かなくちゃならないんだろう。」
もちろん、僕の親だって僕が高校に推薦が決まっていることは知っている。
推薦が決まった時には凄く喜んでくれて、ケーキまで買ってお祝いしてくれた。
なのに、何故塾なんかに行かなくちゃいけないのか。
それは、隣家に住んでいる幼なじみの乾 天野が推薦に落ちて一般入試で受験することにしたからである。
はっきり言ってはた迷惑な話である。
だが、うちの親たちは「天野ちゃんが塾に行くから、洸も申し込んでおいたわよ。」と勝手に申し込んでしまったのである。
僕には何の確認も取らずにである。
これにより、受験も終わったのでこれからは遊びまくる予定だった僕の残りの中学人生は塾で潰れてしまったのである。
「本当なら今頃は、友達と遊んでいたのに。」