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ロリ巨乳狐娘叔父さんオンライン ‐ 美少女妖狐になったけど姪とゲームがしたい ‐  作者: 菌糸雀
第5章 立派なマツタケを前にしてロリ巨乳狐娘は何を想う
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8. お試しキノコ料理


 おつかいを頼んだら不幸にも全財産が消滅して取り乱してしまった僕だが、しばらくすると流石に落ち着きを取り戻した。

 まぁ僕はこれでも大人だからな、いつまでも子供の失敗を責め続けることなどしない。過ぎたことはもういいじゃないか。いいわけないが。


 それはともかくとして、許す許さないは別にしてもひとまず建設的な話をすることにした。ちなみに許すか許さないかで言えば許さないことは確定している。


「じゃあまずは、僕たちが今回ここに来た目的をおさらいしようか」

「ごはん!」

「マツタケを食うためにゃ!」

「うーん惜しいけど違う!」


 僕たちがこの『キノコの里』へと来たのは、『キノコ好きの囚人ピルツ』から受けたサブクエストのためである。一応、牢獄で待つ彼のためにマツタケを採りに来たというのがメインターゲットなのだ。

 そういうわけで、あくまでも僕たちが食べる分のマツタケの採取はついででしかない。マツタケが1本しか採れなかった場合は仕方がないので納品を諦めて姪のために調理するが、主目的としてはクエストアイテムを取りに来たというのが正しい。優先度は姪の松茸ごはんよりも低いが、目的に据えるのはあくまでもクエストクリアである。


「なんにせよとりあえずは情報収集かな。マツタケがどこで採れるのか、NPCに聞き込みとかで分かればいいんだけど」

「あ、じゃあさあんちゃん。クエストボード行ってみるのはどう? 他にもマツタケの納品クエストとかがあったら、生えてる場所も書いてるかもだし」

「お、それいいね」


 ピルツの言っていた「キノコの里の奥地」というのは、なかなかふわっとした情報であるため正確な場所は自力で調べる必要があった。里の中の奥の方なのか、里を越えて更に森の奥に入ったところなのかも分からないからだ。

 なのでどうやってそれを調べようかと考えていたわけなのだが、姪から名案が飛び出したためそれを採用することにした。贔屓(ひいき)目に見なくとも、お世辞抜きにナイスアイデアだ。クエストボードをそんな風に利用しようと思い付くなど、流石は柔軟な発想力に溢れるひらめきに定評のある姪である。


 というわけで僕は早速姪と一緒にクエストボードに向かおうとしたのだが、その行動に異を唱える者がいた。

 僕と姪が仲良く行動しようとしているのを邪魔する存在、それは紛れもなく第三者。つまるところ、それはすなわちミィであった。


「でもアン、せっかく調理器具買ってきたのに料理スキルは試してみないのにゃ?」

「……試す? マツタケまだ採ってないのに?」


 何を言っているのか、僕にはよく分からなかった。

 マツタケがまだ手に入っていないのに試すとは? 料理をするには食材が必要だ、先に食材を取りに行かないことにはどうにもならないのではないか。だから早く姪の言う通りクエストボード行こうぜ。


「マツタケは無かったけどにゃぁ、シメジとかならそこの店で普通に売ってたのにゃ。それに練習なしでいきなりマツタケを調理するのも失敗されそうで怖いにゃ」

「それは……むむむ」


 ミィの言い分は間違ったことは言っていなかった。確かに慣れない道具で料理を作るのは失敗する恐れがあるし、ましてやマツタケを使った料理など久々である。

 料理とかはしなさそうなミィに知った風なことを言われるのはなんだか気に障るが、その意見は概ね正論ではあった……のだが。


「あと普通にマツタケ以外のキノコ料理も食べてみたいにゃ」

「それが本音かよ」


 正しいことこそ言っていたが、その根底にあったのはただただ食欲だった。

 マツタケ以外の普通のキノコ料理ならリアルで食べればいいだろうと思わないわけではないが、あまり突っ込んだミィの食事事情のことは分からないので強くは言えなかった。


「うにゃにゃ……ダメにゃ?」

「ダメっていうか、別にキノコを食べることに関しては止めないけど。だけど料理ってなると、作るの僕なんだが。それに食材だって、買えばいいって言っても誰かさんのせいでもうほとんどお金残ってないし」

「うにゃぁ……」

「あっでもあたしもせっかくだから早くゲームの中であんちゃんの料理食べてみたいかも」

「ちょっと食材買ってくるわ」

「わーい!」

「アンはるぅに支配の呪いでも掛けられてるのにゃ?」


 なにやら外野がうるさいが、そんなことは気にせず僕は話を進めることにした。

 姪と一緒にクエストを漁るのは捨てがたいが、予定より一足先に姪に餌付けできるならそれもまた良いだろう。なにより姪の希望ならば出来る限りは叶えたいのが叔父というものだ。


「じゃあ悪いけど、マツタケの情報収集はるぅちゃんに任せていいかな? 僕はその間に料理作っとくから」

「おっけー、まっかせて!」

「ミィはどうするのにゃ?」

「うーん料理はスキルによるものだから僕1人で充分なはずだし……るぅちゃん、ミィ要る?」

「ん、じゃあ手伝ってもらおっかな。クエスト探しとか1人じゃ大変かもだし」

「了解にゃ」


 というわけで、僕たちは手分けしてそれぞれの役割に当たることにした。

 僕はクエストボードに向かう姪たちに着いていき、途中でミィに食品店の場所を教えてもらってそこで別れた。

 次に会うときは美味しい料理を用意しておいて、情報を持ち帰ってきた姪をもてなしたいものだ。そんなことを考えながら、食品店のおじさんに声を掛けた。


「すみません、シメジください」

「あいよっ!」


 とりあえず購入したのはシメジである。これならバターで炒めるだけで美味いし、他に大した食材も無くあまり調味料の揃っていない現状でも活かせるのだ。

 まぁ身も蓋もないことを言うならば、キノコなんて塩か醤油とバターで炒めれば大概なんでも美味いのだが。それでも僕としてはシメジが一番好きなのでこれにしておく。確か姪もキノコの好みは同じだったはず。


 今の所持金で足りるかどうかは(いささ)か不安だったものの、やはり生の食材は食堂や酒場で食べられる料理よりも遥かに安かったので無事に充分な量を仕入れることが出来た。

 これならおかわりにも対応できるだろう。何ならついでに予算いっぱいまで使ってエリンギも買っておいた。1品だけでは少ないかもしれないからな。


「よし、次はいよいよ調理……ん?」


 食材も手に入ったのであとは作るだけだ、そう思って近くの広場で鍋をアイテム欄から取り出したところで気付いた。

 ……これ、コンロも無しに鍋だけあっても加熱できなくない?


「えーっとwikiの料理スキルのページによると……『料理は基本的に自分の物件のキッチンか、主要な街にあるレンタル料理スタジオで行います。火は屋外ならカセットコンロか焚火(たきび)を用意しましょう』、か……うん?」


 疑問に思って調べてみれば、なるほどやっぱり何らかの火は必要なようだった。しかも火加減の調節を考えれば焚火では低品質な料理しか出来ないので、実質コンロが必須とも書いてある。マジかよ。


 とはいえレンタル料理スタジオは使用料がかかる上に、まず辺境であるこの里に存在しないので使いようがない。

 自分の物件というのも、恐らく月額を払って利用できるゲーム内の持ち家のことなのだろうが僕は契約していない。そもそも契約してても土地が固定されてしまうため、出先で使うことは出来ないし。

 カセットコンロは雑貨屋に行けば売っているのだろうが、不幸にも僕は先ほど有り金を全部食材に変えてしまった。なんてこった、完全に手詰まりだ。


「うーん……かくなる上は……いや、待てよ?」


 仕方がないので品質ダウンも覚悟の上で、課金アイテム『休息の焚火』を設置して無理矢理にでも熱源にしようかと思った矢先。

 僕はその時、ふと(ひらめ)いた! コンロが無いのなら僕自身がコンロになればいいのでは? 普通であれば不可能だが、なにしろここはゲームで僕は炎を操れる妖狐なのだ。まぁゲームでなくても妖狐ではあるのだが。


「よっし、やってみるか」


 そうと決まれば早速僕は、左手の手のひらを上に向けて意識を集中した。ここで重要なのは火加減である。ただ燃やすだけなら焚火でいいのだ。

 だから僕は、これまでゲーム内でスキルを使った経験や夢の中で妖狐と戦ったことから得たものなどを全て注ぎ込んで妖力を操る。全ては料理にちょうどいい火加減を作り出し、姪に美味しい料理を食べてもらうために。


「圧縮……噴射……点火……ふんっ!」


 そんな一心で僕は≪狐火≫の発動プロセスを普段より少な目の妖力の操作によって再現しつつ、コンロの火力をイメージして左手に火を灯した。


「おっいけた! なんだできんじゃん!」


 結果は成功。点火の瞬間だけちょっと強めに燃えたものの、そのあとは≪狐火・纏≫と同じ要領で炎を維持すれば中火で安定させることが出来たので問題なく料理に使えそうである。

 ちなみに今回は完全に手動(マニュアル)で出力を調整するため、システムのアシストに邪魔されないよう無詠唱でスキルを発動した次第だ。これ自体は妖力操作のコツさえ掴めば可能なはずなので、おそらく妖狐歴2日目ぐらいから使えたのだろうとは思うが、まぁスキルは名前を叫んで発動した方が威力が高いし今まで使う機会が無かった技術である。あと他の理由としては、僕自身が技名を叫びたいタイプなので。


「まずは鍋を火にかけてバターを……あっ」


 ともあれこれで火の問題は解決したので早速調理に取り掛かろうと思ったのだが、そこで僕はあることに気が付いた。

 何を隠そう僕は今、右手に鍋を左手に炎を持っているのだ。うんまぁこれで鍋を加熱することはできる。できるのだが……両手が塞がっててそれ以外のことが何もできない。


「うーん右手を離して一時的に左手に鍋を置いて……っと危ないなこれ、不安定だし。それに今はいいけど中身が入った状態でやったら(こぼ)しても怖いし……」


 僕は左手をコンロとして使ったことが無かったので、どのようにすればこれで調理できるのかが分からなかった。鍋の柄から手を離すことが出来れば楽なのだが、あいにく鍋の下にある少女の手は小さすぎて安定感に欠けるところがある。

 あと自分の炎でダメージを負うことは無いが、熱された鍋は話が別だったようで普通に熱ダメージが入っていた。危ねぇこれゲームじゃなかったら大事(おおごと)じゃねぇか。


 先に食材を入れてから加熱することなら出来なくはないが、それでも加熱しながらかき混ぜることが出来ないので焦げてしまうだろう。かといって混ぜる度に火を止めていては非効率だし仕上がりも不安である。両手を使わずに料理をしたことも無い僕にとっては、完全に手詰まりだった。


「くそぅ手があと1本あれば……あっ、そうだ! 火を出しながら両手がフリーになればいいんなら……これでどうだ!」


 だが僕は諦めなかった。姪に料理を振舞うためにあらゆる方法を思案し、何か活かせるものは無いかと持てる手段を思い返した。

 その結果、見つけることができたのだ。片手で鍋を持ち、片手で食材や菜箸を持ちながら加熱する方法を。


「この体勢で、鍋は左で持って……お、できた。よしっ!」


 早速その方法を試してみた僕は、左手に鍋を持って火にかけながら右手でバターを1欠片取り出して投入した。熱で溶けていくバターの欠片を鍋の角度を変えながら、菜箸でつついて鍋底に広げる。両手を自由に使える料理というのは、実に楽であった。


「普段は邪魔なことが多いけど、こういうことに使えるんなら尻尾も便利だなぁ。いやー狐でよかった」


 そう、尻尾。

 僕は今、体の前に持ってきた尻尾の先端に火を灯してそこに鍋をかけていた。これで両手をある程度自由に料理に使えるという寸法だ。完璧な作戦であった。


 最初は膝や脚に火を灯すのも考えたが、やはり腰回りで自由に動かせる尻尾とは利便性が違う。

 僕は姪にモフられること以外の用途で初めて尻尾の有用性を感じていた。


「ふっふっふ……これで心置きなく料理ができる! よーしるぅちゃんの為にも美味しく作らないと!」


 かくして僕は、簡単なものではあるがキノコ料理作りに取り掛かった。

 バターと醤油のいい匂いを広場に漂わせながら、食品店で購入したキノコ類を次々と調理してはアイテム欄にしまっていく。

 キノコの里自体がNPC以外にほとんど人のいない地域ではあるのだが、僅かながら冒険中のプレイヤーも存在する。そんな彼らは料理スキルが珍しかったのかたまに様子を見てくることもあったが、これから姪に料理を振舞えるのだと思うとついつい上機嫌になってしまった僕には特に気になることでもなかった。


 ――そんな鼻歌混じりにご機嫌な様子で、尻尾に鍋を乗せて料理するというシュールなロリ巨乳狐娘の姿が。普通に通行人に撮影されていて、のちにゲーム内で最も意味不明な料理動画として話題になることになるだろうとはこの時の僕は知らなかったし、何なら今後も知ることは無いのであった。


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[一言] 確かにシュール
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