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ロリ巨乳狐娘叔父さんオンライン ‐ 美少女妖狐になったけど姪とゲームがしたい ‐  作者: 菌糸雀
第1章 朝目が覚めたらロリ巨乳狐娘になってたけどそのままゲームする
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8. 短剣の使い方


 ここはとある路地裏。

 僕たちはクエスト達成の報告をしたあと、流れるようにこの場所にやって来ていた。クエストボード前は人が多すぎるので、耳と尻尾が出てしまう前に一旦離れる必要があったのだ。


「ねぇあんちゃん、武器って短剣にするの? さっきはボス戦のとき魔法も使ってたけど」


 そこの地面に座ってMP回復を待っていると、ふと姪が訊ねてきた。魔法か物理どっちで戦うのかと聞きたいらしい。


「杖とかにする必要は無さそうだよ。スキル詳細画面で見てみたら≪狐火≫の威力とかって、武器や魔力に関係なくスキルレベル依存っぽいし」

「あ、そうなんだ。じゃあこのまま短剣でいいね」

「ただなぁ、短剣ってなんか弱い気がして……」

「あー……」


 これが問題なのだ。最初に選んだ武器、これが弱かったのである。姪が使うような長剣と比べればリーチも威力も低いのは仕方ないのだが、そこは素早い攻撃回数でカバーできる……かと思いきや、そんなこともなかった。明らかにダメージ効率が低いのだ。


「やっぱり不遇武器っぽいし他のにした方がいいのかなぁ」

「いや、そんなことはないぜ」

「ひゃっ誰っ!?」


 そんな話に唐突に背後から割り込んできたのは、頭にバンダナを巻いた男だった。歳は20手前ぐらいだろうか。

 僕は足音を殺してゆっくり近付いてくる微かな音を察知していたので存在に気付いていたが、姪は全く気付かなかったので驚きの声を上げた。果たして背後に忍び寄って驚かせる必要はあったのだろうか。


「おっと悪りィ、隠密スキルを鍛えてる最中でな。驚かせちまったか」


 しかしどうやら悪気はなかったようで、気さくに謝りながら人の良さそうな顔で話を続ける。


「俺は『疾風のシュン』。βテスターでな、短剣使いをやってるんだ」

「それって……」

「そうだ。ちょうど路地裏をスキル上げでウロウロしてたら、今にも挫折しちまいそうな短剣使いの後輩がいたんでな、お節介かもしれねぇが、つい声をかけちまったってわけだ」


 βテスター、つまりサービス開始以前からテストプレイとしてこのゲームをやっていたプレイヤーである。正式サービス開始と同時に所持品やステータスなどは全てリセットされるが、予め経験を積んできた彼らの情報アドバンテージは計り知れない。


「それで本題だがな、短剣は実は両手に持って二刀流に出来るんだ。こんな風にな」

「おぉ……!」


 そういうと彼は慣れた手つきで腰から2本の短剣を引き抜いて逆手に構えた。いずれも同じ初期装備でありながらもその堂に入った構えからはなんだか強そうだというイメージが湧いてくる。


「武器が2本必要にはなるが、単純に手数が倍になるってのは強みだぜ。それに状況によっては片手に盾を装備したりも出来るし、短剣は軽い分片手武器の中でも特に応用が利く。とりあえず初期装備の短剣は武器屋でタダ同然で売ってるし、あとで試してみてくれよな」


 爽やかな笑顔でしれっと追加で別のテクニックを教えてくれたり、武器の入手手段まで教えてくれるのは気遣いの出来る男だと思った。その態度が明らかに小さい子供に向けるようなものであったこと以外は完璧なコミュ力だ。

 だが流石にその辺の事情を察しろというのは無理な話なので、普通に良い人っぽいしなるべく丁寧に対応する。


「色々ありがとうございます。でも、いいんですか? そんなに色々と攻略情報みたいなの教えて貰って……」

「いいのさ、この情報はもう攻略wikiにも載せてあるからな。それに……困ってる人が居たら放っとけないんでね」


 特にかわいい女の子はね、と付け加えて向けてきたキメ顔には思わず背筋がぞわりとして尻尾の毛も逆立ったが、まぁ親切で声をかけてくれた恩人には違いないので表情には出さずなんとか堪える。自信はないけど多分堪えられたと思う。


「ところでβテスターの俺としてはその耳と尻尾について非常に気になるんだが、可能な範囲で情報を教えて貰ってもいいかな?」

「無償でいろいろ教えて頂いてありがとうございました。今はこの恩は返せませんがいずれまた会う時があれば」

「おじさんありがと、バイバイ!」


 そうしてなんとか姪と2人がかりでお礼を押し付けると、彼は少し残念そうにしながらも、しつこく食い下がることもなく忍び足で路地裏の奥へと消えていった。隠密スキルのレベル上げと言っていたか、またその作業に戻ったのだろう。こういうところで強引に聞き出したりしない辺りは、本当にすごく良い人ではあるのだと思う。

 とはいえ気障(キザ)な態度が気に食わないので出来ればもう会いたくはないなと密かに思う僕であった。


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