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ロリ巨乳狐娘叔父さんオンライン ‐ 美少女妖狐になったけど姪とゲームがしたい ‐  作者: 菌糸雀
第5章 立派なマツタケを前にしてロリ巨乳狐娘は何を想う
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2. 囚われのロリ巨乳狐娘


 ここは地下の強制労働施設。

 僕は今、回転する柱に取り付けられた棒をひたすらに押していた。柱の周りをグルグルと回りながら棒を押して歩く、ただそれだけを繰り返して柱を回転させていた。

 これにより柱を回転させたことによって得た動力を変換して石臼を回したり、滑車を回したり……などという機構は明らかに存在しない。ここにあるのは、ただ地面に固定された回転するだけの柱だった。なぜこんなものを回しているのか。目的は不明である。ただ1つ言えるとするならば――


「囚人番号1133番! もっと腰を入れて押すんだ、筋肉の躍動感をもっと感じて!」

「うおおおおお!!」

「そうだッ! それでいいッ! いいよ、キレてる!」


 この労働を監督しているのは、明らかにインストラクター風のナイスガイだった。鍛え上げられた筋肉に日焼けした肌、ピッチリとしたタンクトップ。気分はさながらスポーツジムでルームランナーを利用しているかのようである。


「そろそろ限界だね、よしあと10秒行ってみよう!」

「ぐぬぬぬぬ……!」

「あと少しだよ、イケるイケる! 自分の筋肉たちを信じて! 頑張れ1133番!」


 柱は結構重いので、押して歩くだけとはいえ結構なスタミナを消費する。正直あと10秒ももたないと思うのだが、気合いでなんとかなるのだろうか。


「ふんぬぅっ……!」

「いいね、いいガッツだ! そのまま最後まで! ……3、2、1、終了! おつかれ囚人番号1133番、プロテインいる?」

「はぁっ……はぁっ……」


 なんだこれ、マジでなんなんだこれ。インストラクターに囚人扱いされるのマジでなんなの? 正確にはインストラクターみたいな刑務官だけど。ジムに通ってるのか刑務所に入れられてるのか、その辺の認識があやふやになって頭がおかしくなりそうだ。深く考えないのが正解なのだろうが。


 とにかく僕は軽く息を整え、貰ったプロテインを一気飲みして次の指示を仰いだ。ゲームの中とはいえ運動しっぱなしだったので気分的には少しぐらい休みたいが、あいにく僕には休む暇など無いのだ。可及的速やかに刑期を終えて姪の元へと駆けつけなければならない。


「インスト……刑務官さん、次は何するんですか?」

「ああ、刑務はもう終わったからね。残りの刑期は牢屋で待機してれば終わりだよ」

「あ、そうなんだ」


 なんでも初犯ということで強制労働自体の時間は短いらしく、ここまでの5分ほどで終わりらしい。というわけで懲役10分の僕は、あと5分もしない内に釈放である。罪の重さによって多少は増減するものの、基本的には再犯する度に刑期が重くなるシステムらしいので、僕のように手違いで罪を犯してしまった場合は比較的すぐ出られるようだ。


「じゃあ後は、看守くんヨロシクゥ!」

「ああ。ついてこい囚人、貴様の牢屋に案内してやる」

「あっはい」


 僕を牢屋に案内してくれるらしい看守は、なんというか如何にも看守という感じの普通の看守であった。なんとも性格の悪そうな悪役顔の看守である。まさに看守。

 先ほどまでのインストラクターとの落差にどういうリアクションをすればいいのか分からなくなるが、まぁ素直に従っておけば問題ないだろう。そう判断した僕は、黙って後ろについていった。


「ここだ」


 そして到着したのは地下の牢屋。広い地下室に、前面が鉄柵の檻になっている個室がいくつかある空間だった。


「刑期を終えたらまた来てやる。それまでそこで反省していることだな」


 この看守マジでそれっぽいこと言うなぁ、などと思いながら牢屋に入れられた僕は恐らく全く反省していないことが自分でも分かるのだが、どうせ懲役を終えたら反省したことになるのだ。牢屋で過ごした時間こそが何よりの反省の証明である。

 そんなことを考えながらひんやりとした空気の滞る地下牢で、僕は備え付けの硬いベッドに腰掛けて刑期が終わるのを待っていた。


 とはいえ姪と遊べることを楽しみにしていた手前、例え残り5分でも果てしなく長く感じてしまうものである。先程までと違って考える余裕がある分、余計にそう思う。朝起きる時のあと5分はとてつもなく短いのに……と、憂鬱に感じていたそんな時。


「嬢ちゃん、嬢ちゃん」

「……ん?」


 気付けば向かいの牢屋の男から、声を掛けられていた。ボーっとしていたので嬢ちゃんという言葉が自分を指しているのだと理解するまでに時間がかかったが、周りに他の囚人もいないので間違いないだろう。

 その男はどうやら雰囲気づくりのためのNPCらしく、プレイヤーである僕とは違って横縞の服を着た如何にも囚人といった男であった。焦点の定まらない目やほどほどに薄汚れた見た目などからも、それっぽさがバッチリである。


「グヘヘ……嬢ちゃん、『キノコ』持ってねェかィ?」

「キ、キノコ……?」


 そんな如何にも悪そうな男から、唐突にそんなことを言われて困惑する。キノコというと、あの食べ物のキノコだろうか? あるいは見るからに正気じゃなさそうな様子からして、もしかして幻覚作用とかがあるようなヤバいキノコのことか?

 まぁいずれにせよ僕はキノコらしいアイテムなど持っていないし、何なら股間のキノコも今や失ってしまったわけだが。うん、やっぱいざこの現実を受け入れるのはツライな。未使用だったんだからそりゃ未練もあるわ。


 そんな関係ないことを思い出して感傷に浸る僕を尻目に、囚人のNPCは話を続けた。


「キノコだよキノコ、グヘヘヘ。エリンギにマイタケにあとシメジ、色々あるだろう? 中でも俺は『魔津茸(マツタケ)』が大好物でね。持ってきてくれたら良い物と交換してやるよ、グヘヘ」


 僕は囚人の男の外見からなんとなく危険なブツを想像したが、よくよく聞いてみれば案外まともな内容だった。

 話によれば、どうやらこれはこの場所でしか受けられない納品系のサブクエストのようだった。クエストアイテムは……マツタケ? 食品店かどこかに売ってるのだろうか。

 僕はなるべく守れない約束はしないタイプだが、サブクエストとなれば話は別だ。期限が設定されていないものならば受けるだけ得だし、受けない理由も無い。


「今は持ってないけど、まぁ気が向いたら持ってくるよ。値段にもよるけど」

「おお、ありがてェ! ただ魔津茸は店には出回ってねェんだ、森の方に自力で採りに行かなきゃなんねェ! 自生場所は森エリアにある『キノコの里』の奥地だ、頼んだぜ! ……グヘヘヘヘ。久しぶりにシャバのキノコが食べれるぜ」


 行けたら行くわ、程度のニュアンスで了承した僕だったが。(よだれ)を垂らしながら虚空を見つめる囚人の男は、もう既にどうやって食べようかと想像を膨らませ始めたようだった。出会って間もない僕への信頼が厚いのか、それとも単に食欲が強いのか。


 というか教えられた場所の名前から、なかなかに危険そうな匂いがするのだが気のせいか? 『キノコの里』ってなんか……色んな意味で大丈夫なのか? キノコが生えてるのは山なのでは? 元々里に生えていたはずのタケノコはどこに行った? 占領されてしまったのか? タケノコ派の僕は入っても大丈夫なのだろうか?

 まぁそれは置いておくにしても、そこの更に奥地とのことだ。必要レベルなんかが分からないが、果たして奥地には辿り着けるのか。別に無理そうなら様子見して帰ってくるだけなので、多少の無駄足になるだけではあるが。


 と、そんなことを考えていたら。おもむろに地上へと続く地下牢の入り口が開いて、看守の男が入ってきた。

 そして一直線に僕たちの牢の方へと向かってきながら、簡潔に用件を告げる。


「釈放だ、来い」

「おっ……? グヘヘヘ、ありがてェ。ようやく俺も出られるんだな」

「貴様じゃない座ってろ」


 言葉が簡潔すぎた為に誤解してしまったキノコ好きな囚人を適当にあしらうと、看守は僕の牢のカギを開け始めた。いつの間にやら、牢屋に入れられてから5分経っていたらしい。

 最初の方は早く姪と遊びに行きたいあまり時間が過ぎるのを果てしなくゆっくりに感じたが、この男と話していたら多少は気が紛れたようだ。そういう意味では感謝だな。僕はそんな感謝の意も込めて、軽く別れの挨拶を済ませていくことにした。


「じゃあな、僕は先に出るよ。あー……えっと、名前聞いてたっけ?」

「おお、言ってなかったな。俺は『キノコ好きの囚人ピルツ』だ。例のブツは面会の時にでもこっそり渡してくれ」

「おい看守の前で誤解を招く言い方やめろ」

「例のブツだと……? 貴様ら、さては何か企てて……」

「すいません違うんです! 食べ物を差し入れして欲しいって言われただけなんで! やましいことなんか無いんで!」

「む……そうか。なら良いが」


 なんだか疑わしい目で見られていたものの、なんとか誤魔化して無事にその場は切り抜けることが出来た。これでムショの臭い飯ともおさらばだぜ。滞在時間10分しか無かったから食べてないけどな。


「もう戻ってくるんじゃないぞ」

「うっ……善処します」


 別れ際に看守から定番っぽいセリフを言われたが、素直にハイと言うことは出来なかった。今回だってノリで壁壊した段階だとまだ罪を自覚してなかったからな、次だって気付いたら罪を犯しているかもしれない。確約は出来ない。


「ふぅ……よし、遊びにいこ」


 ともあれ僕は、既に罪を償ったのである。これで自由の身だ。

 そうとなればこんなところに用は無いとばかりに、姪と遊ぶ予定の遅れを取り戻す算段で頭をいっぱいにしながら刑務所を後にしたのだった。


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[一言] ちなみに僕はチョコレートが苦手です
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