②
いつまでも森の中で話をするのもどうかということで
山小屋のような所に案内された。
ついて行っていいものか迷ったが、あそこからどう動いていいかも
分からなかった。
いざというときは死ぬ気で逃げるしかない。
そんなことを考えながら小屋の中に入ると女性がいた。
「あ、帰ってきた。って、2人も!?」
私たちを見てびっくりされた。
なるほど、異世界人が2人はめずらしいらしい。
それより女性がいたことに安心を覚えた。
前嶋さんも同じようだ。
「リタ、うるさいぞ。お前の話は後だ。じゃあ、2人ここに座ってくれ」
先ほどからずっと私の質問に答えてくれたヒゲもじゃの戦士が椅子に座るようすすめてくれた。
「何か飲むか?つっても水ぐらいしかねーが」
そう言われて喉が渇いていることに気付いた。
そんなことに気付けないほどの異様な状況だったことを改めて実感させられた。
「お水いただけますか」
お願いするとリタという女性がすぐに用意してくれた。
「安心して。毒なんか入ってないから」
飲みかけていた前嶋さんはむせてしまった。
気を遣ってくれたようだが、なんせタイミングが悪い。
「リタ!余計なこと言うな。反対に疑われるわ!」
リタの頭にゲンコツが落ちた。
「いったーい!!」
「うるさい!少し黙ってろ」
そんなやり取りがかわされている間に私も前嶋さんもコップを空にしていた。
「悪いな。これから必要な説明をするから分からないことがあったら質問してくれ。その前にまず自己紹介だな。俺はクライヴだ」
ニカッと笑いながら名乗ってくれたヒゲもじゃの戦士はクライヴさんという。
「私は詩緒と言います。こちらは・・・ひかりさんです」
私も自己紹介をし、前嶋さんの紹介もする。
普段お互いに苗字でしか呼んだことがない為、彼女の名前が何だったか一瞬分からずつまってしまったが、思い出せてよかった。
「シオとヒカリだな。よろしくな。それからさっきからうるさいこれはリタだ」
「リタでーす!よろしくね!」
とてもかわいい笑顔で挨拶してくれた。
「あとこっちの連中だが、後で紹介する」
そういえば先ほどからずっと一緒にいるキラキラ集団は誰一人として言葉を発しない。
だからと言って警戒されているわけでもなく、むしろ興味深々といった雰囲気が否めない。
悪意を向けられるよりはマシだが、意味も分からず興味をもたれるのもあまり気分はよくない。
後で紹介してくれるというのだから、今は先にクライヴさんの説明を聞きたい。
「分かりました。では、ご説明をお願いします」