痩せて、アイツを見返してやる!!
俺はデブだ。自他ともに認める生粋のデブだ。
俺が中学一、二年の時はまだ痩せていた。なんならモテていた。結構頻繁に女子から告白を受けていた。だが、中学三年に上がってすぐの頃、ついに同学年の男子共の我慢の限界が来たのだろうか……イジメを受けるようになってしまった。毎日毎日、筆箱隠されたり、靴に砂入れられたりと、いかにも中学生がやりそうな幼稚なイジメであったものの俺はそのストレスに耐えられず、食事でストレスを解消するようになっていった。
その結果、俺の体重は半年で二十キロも増えてしまい、五十キロから七十キロへと増加してしまった。いや、身長が高かったり、筋肉によって増加したものだったのなら、七十キロでもおかしくないのだろうが、俺は生憎中学三年の平均身長とほぼ同じであった。そして体重が増えた原因の大部分は体脂肪の増加によるものだ。
そんなわけで俺の体型はブラックマ〇ネーズのでかい方の身長を縮めたようなものと言えば分かるだろうか。
十二月の初め、俺はクラスのマドンナ藤倉彩音に告白をした。三年間同じクラスで、一、二年の頃は頻繁に話したり遊んだりしていて、また、三年になってからもちょくちょく話していた。彩音は俺に気があるものだと思っていた。
「好きです!付き合って下さい!!」
「えっと…ごめん。無理」
「な、なんで?」
「いや、だって太ってるし。そんな見た目で私と付き合えると思ってんの?」
「で、でも俺が太っちゃってからも話してくれたじゃん!!」
「はぁ…無視したりしたら私の株が下がるでしょ?そんなこともわかんないの?」
「え…」
はあああああああああ!?ふざけんなよ!!!俺は、俺はお前の評価の為に優しくされてただけなのかよ!!!
こうして俺はアイツを見返してやることにした。幸いにも俺とアイツの志望校は同じらしいから、高校に入って俺を見た時後悔するんだな。
あの時振らなければ…と
俺は高校に入るまでダイエットしてる事がバレないようわざわざ引越し、別の中学へと行くことにした。その中学でもイジメはあった。だが、それは以前のイジメよりは全然軽いものだったから耐えることができた。
俺のダイエットメニューを紹介しよう。毎日ランニング十キロ、腹筋朝晩三百回ずつすることになった。また、食事は昼食を抜いた一日二食。朝は某コンビニに売っているサラダチキン一つ、夜はサラダ三百グラム、野菜ジュース、またまたサラダチキン一つとし、ひたすら我慢した。
本当に泣きそうだった。というか何回か死のうかと思った。
街を歩けばそこら中に俺を誘惑する香りが…。家にいても妹がお菓子を食べている…。本当に本当に辛かった。
そうして、三ヶ月程経った頃には俺の体重は六十キロまで落ちた。なんだ、十キロだけしか落ちなかったのかよと思ったやつ。違うぞ。筋トレして筋肉付いたから十キロ程しか落ちなかったんだ。筋肉は脂肪より重いのだぞ。おかげでムキムキさ。
また身長も何故か三ヶ月で五センチも伸びた。結構スタイル良くなったと思う。太る前より更にイケメンになることができたと思う。
四月、無事俺は志望校に入学することとなった。痩せた俺にアイツは気がつくだろうか。まぁ気が付かなかったとしてもイケメンになった俺にアイツは告白してくるだろうな。その時はこっぴどく振ってやろうじゃねえか!!ハハハハハ!!!
しかし、気になることがあった。ひと月経ってもアイツの姿を学校内で見かけることがなかった。
仕方がない。もう一人あの中学からこの高校へ進学したやつがいるからそいつに聞いてみるか。
「すまない、藤倉彩音は何組にいるのか知ってるか?」
「なんで彩音ちゃんのこと知ってるの?」
いや、元クラスメートだったから知ってるに決まっているだろう。
「いや、だってクラスメートだったし」
「え、うそお、だって私も彩音ちゃんと同じクラスだったけど君みたいにカッコイイ人はいなかったよ?彩音ちゃんに振られて転校していったデブならいたけど」
あ、俺に気づいてなかっただけか。
「そのデブ俺」
「えええええ!?うっそ!!」
「いや、ホントに俺だから」
「や、痩せたね」
「うん、まぁ。それより彩音は?」
「彩音ちゃんならここ落ちたから違う学校行ったよ?」
はあああああああああ!?!?あいつここ落ちるほどバカだったか?精々上の下くらいの偏差値だろここ。
「なんか、受験番号書き忘れちゃったらしいよ」
ふっざけんなよ、あのクソアマ!!!じ、じゃあ何処に進学したんだあいつ。
「ちなみに彩音は何処に進学したか知ってる?」
「うん、彩音ちゃんは県外の高校に進んだよ」
け、県外!?俺の復讐はどうなんだよ!!!ほんっとにふざけんなよ!!!
こうして俺は復讐出来なかったストレスで、体重が八十キロまで増えた。
面白いと思った貴方!!是非評価を……