投資に命かけるみたいなんだが?
「まずは先程、隆さんが私に百円玉を渡し、私が隆さんにガムを渡しましたよね。これは、自分の資産を相手に渡した、という感じになりますね。ここまではよろしいですか?」
よろしくねえよ!
僕は眉をひそめ、心の中でつぶやく。
「これは、投資に成功したことを意味します。別名、等価交換とも言いますね」
それが10円ガムですか。
女の子の握った10円ガムは10円以上の価値があるというやつですね。
あぁ、そうですか。
「あ、ちょっとスマホ借りますね」
「おいこら!指紋をつけるな!」
といっても、すでにあのギャル女につけられたんだがな。
僕のスマホを勝手に弄りだした。
「ふっ!甘いな、女子よ!その端末にはシールド(パスワード)が張られているのだよ!果たして貴様は、そのシールドを破ることができるか――」
「できましたー!」
「なにーーー!?」
彼女はニコニコと笑いながらスマホの画面をこちらに向けた。
「えっと、スマホにもウイルスを入れてハッキングをして、ちょっとしたプログラムを入れてみました!」
「何してくれてんだ、てめえ!!僕のスマホになんて事しやがるんだ!!」
「大丈夫です!そこまで悪質なウイルスじゃありませんから!強いて言えば、腕が吹き飛ぶくらいなので!」
え、嘘だろ?
ていうか、ウイルスってなんだよ…
「冗談・・・だろ?」
「いえ、本当です」
真顔で僕の質問に答えた。
「はっ、ははっ・・・冗談が下手すぎるでござるな・・・だいたい、拙者は自分の命よりも腕の方が大事なんだよ。腕がなきゃロジカルファンタジーができなくなるからな」
とはいえ、動揺している自分がいた。
腕がなくなる?
冗談でも聞いたら恐ろしい話だ。
「だって、腕のバングルが何よりの証拠じゃないですか」
「バングル?」
彼女の視線が僕の腕に突き刺さる。
僕は恐る恐る自分の腕を見た。
「なんだよこれ!?」
両手首にはいつのまにか鉄でできた輪っかのようなものが巻かれていた。
ガチャガチャと音を立てて外そうとする。
すると、腕に巻かれているものが赤く光り、ものすごいサイレンの音が鳴り、耳を刺激した。
「うるせえな!!」
「あぁ、無理に外そうとしない方がいいですよ。無理に外そうとすると投資家様たちの判断により、隆さんが投資システムを放棄したということで、腕ごと爆発しますので」
「なんだよ、それは!理不尽すぎるだろ!!」
ていうか、投資家たちって誰だよ!?
いや、今はそんなことはどうでもいい!!
両手首から手を離すと、うるさいサイレンの音は治った。
「申し訳ありませんが、理不尽なのはこれだけじゃありません。隆さんにはこれから、副業をしてもらいます」
「副業?」