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一泡吹かせたいんだが?

「え?」


 一同が唖然(あぜん)とする。

 そりゃそうだ。

 あの時同様、シャルロットたんにしか興味のない僕が覗きに行くと言い出したのだから。

 さあて、ここからどうやって言い訳しようか。


「そんなに僕が覗きに行くっていうのが意外だったか?いつも僕のことを馬鹿にするリアル女どもを一泡吹かせたいと思ってな」


 無難な言い訳だ。

 これなら副業だと疑われまい。


「だったら、俺も行こう。団長!どこまでもついて行きます!」


 ムキムキも僕に続き、勢いよく手をあげる。


「ムキムキ……」


 こいつがいれば百人力。

 前回は不意を突かれただけであって、戦力としてはかなりある。

 いける!

 とはいえ、ムキムキは覗きなんかには興味ないんだがな。


「じゃ、じゃあ、僕も行きます!」


 今度は山田が腕を震わせながら腕を上げた。

 大丈夫かよ、こいつ。


「おい、山田。無理しなくてもいいんだぞ?」


「僕だって女の子扱いされるのは(こり)(ごり)りなんだよ!それに、僕も女の子の裸見てみたいから……」


 山田は顔を赤らめて言った。

 こいつ、女扱いされてるのか。

 たしかに顔は童顔。

 ちょっと女装でもさせればリアル女にも見えなくはない。

 それがこいつなりのコンプレックスであり、男ということをわからせる証明なのだろう。


「よく言った、山田くん!それでこそ男だ!となると後は……」


 四人の視線は読書している伊集院に向かう。

 こいつが協力するとは思わんがな。


「俺は行かないぞ。女子風呂を覗くなんて不健全すぎる」


 伊集院は僕らに目線を合わせることなく、本に目線を向けて言った。

 まあ、そうだわな。

 学年の秀才が覗きをするわけないもんな。


「ちぇ〜。伊集院くんがいれば戦力になると思ったんだけどなあ〜」


 戦力になる?

 たしかに、人数が多ければその分戦力にはなるが、今の言い方からして伊集院自信が戦力になるというふうに聞こえる。

 もしかしてこいつ――


「失礼します。晩ご飯をお持ちしました」


 部屋の扉が開き、40代ぐらいのリアル女がワゴンに料理を乗せて運ぶ。

 少し覗くと、牡蠣や刺身などの魚介類、牛ステーキや鴨肉などの肉類が綺麗に盛り付けてある。

 こんなのが修学旅行で出るなんてな。


「料理が来たみたいだね。じゃあ、作戦は食事中にでも話そうか」


 作戦。

 今回も何人犠牲が出るかわからない。

 というか、食事中に話すことではないと突っ込んだら終わりだろうか。


「先に言っておく。今回は絶対に……誰一人欠けることなく、エデンに向かうぞ!作戦名、楽園計画セカンド!」


 前回の覗きをが無印ということは今回は2回目、セカンドというわけか。

 僕らには学校生活、そして、修学旅行を共にした団結力がある!

 上条は前に手を出した。

 僕らも黙って手を差し出す。


「行くぞ!えい、えい、おーーー!!」


 4人は大きな声で気合を高めた。

 やれる!

 この4人なら!

 覗いてみせるさ、女子風呂を!

 待っとけ、リアル女ども!


 ――これは、僕を(みじ)めに見てきたリアル女への復讐であり、僕が生きる唯一の戦いなのであった。

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