彼女が帰らないんだが?
「とにかく、僕が聞きたいのは抽象的なことだ。さっきのは一体どういうことだ?なぜお前は百円玉を飲み込んでなんともならないんだ?」
こいつの胃袋は明らかにおかしい。
普通、百円玉なんか飲み込んだら体に不調が出るはずだ。
「そんなことはいいじゃないですかー。まあ、強いて言えば、私の胃袋は異次元なんで」
「理由になってねえよ!」
本当に大丈夫か心配になってきたな。
やせ我慢してるって顔でもないし。
「ていうか、帰れよ!って、勝手に僕のポテチを食うな!!」
「ふぇ?」
きょとんとした顔でこちらに顔を向ける。
ポテチを口に入れながら。
「100円やったら帰る約束だっただろうが!いつまでいるんだよ!」
「いや、私帰るなんて一言も言ってませんから。というより、帰るところありませんし」
「あぁーーー!!拙者としたことがーーー!おのれ…言葉を巧みに操られたということか!」
確かに帰るなんて一言も言っていない。
だから黙っていたのか。
すると彼女は悲しそうな表情をし、俯いた。
僕はふと時計を見た。
「お前、今何時だと思ってる?朝の6時半だぞ。学校の準備した方がいいんじゃないのか?」
「ロジカルファンタジーに学校という概念がないのは隆さんがよくわかってるじゃないですか」
「なんだと!?」
また僕をバカにしたな。
まるで僕がロジカルファンタジーを知り尽くしていないみたいな言い方しやがって!
「というより、あまり言いたくありませんが、隆さんこそ学校には行かれないんですか?」
「拙者は学校に行くよりも、シャルロットたんと24時間ずっといる方が楽しいのだよ」
「えっと、その…そのお言葉は嬉しいのですが、将来がかかってるので行った方が――」
なぜか彼女は頬を染めた。
「うるさあい!!あんなババアどもがいる中で共同生活ができるものか!!」
「はぁ…あ、いいこと思いつきました!これを副業にすれば――」
小さい声で一人で何かブツブツ言っている。
「おい」
「え、あ、はい!抽象的な話ですね!わかってます!わかってますから落ち着いてください!」
「いや、落ち着くのはお前だろ」
彼女は何かを隠すように僕に言った。
こいつ、何か隠してるな。
「とりあえず、隆様は今さっき投資家になられました!」
「あのなあ、あんたいい加減にしろよ!ただでさえこっちはシャルロットたんの名前を勝手に使われて腹が立ってるっていうのに、何が投資家だ!」
流石に腹が立って、腹の底から怒りをぶつけた。
「だいたい、僕がいつ投資家になったっていうんだよ!」
「百円玉を渡したからです!」
「詐欺か!?」
百円玉を渡したら投資家になるなんて聞いたことないぞ。
いや、落ち着け僕。
あいつの遊びに付き合ってられん。
無視だ無視。
「あれ?急に諦めた表情になりましたが…あ、話していいってことですね!では、これより投資システムについて話をさせていただきます!」
彼女は口を開き、僕に話をしようとする。
勝手に話してろ。
全部無視してやる。