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学年のアイドルなんだが?

 僕はそっと上条たちのいるところに戻っていった。

 これまた知らない奴が出てきたな。

 といっても、ただ単に僕が無関心なだけだがな。


「おい、あのリアル女は誰だ?」


 僕は床に膝をつかずに座り、上条に小さな声で声をかける。

 なんでか知らないが、うちのクラスメイトの情報をこいつは色々知っているからな。


「えっと、確か名前は熊倉(くまくら)ふわり。そのふわふわした容姿と大人しい性格から学年のアイドル的存在と言われているとか」


 学年のアイドル?

 じゃあ、なぜあいつは一人なんだ?

 アイドルなら逆に取り合いになりそうだと思うが。


「じゃあ、なぜ一人で立ってる?学年のアイドルなんだろ」


「多分、あまりに人気すぎるからみんな近寄りづらいんじゃない」


 いや、かわいそすぎだろ。

 誰か誘ったれよ、学年のアイドル。

 まあ確かに、顔立ちはいいが……

 とはいえ僕には無縁の話であり、今後関わる存在でもないな。

 すると、もどきがこちらを向いた。


「隆さん!隆さん!熊倉さんもうちの班に入れてあげましょうよ!」


 もどきは小さい声で僕に話しかける。

 これ以上人数を増やすのはごめんだ。


「冗談じゃない。僕はもうこれ以上は増やさないぞ」


「でも、私たちの班は5人班。6人班だって作れますよ」


 いやまあ、作れなくはないが……

 人が多いのは嫌なんだよな。

 人が多いと妙に落ち着かなくなり、ストレスがたまる。

 だからあのリアル女には悪いが、ここは見て見ぬ振りだ。


「隆。僕からも頼むよ。あの子もう誰にも誘われないと思う。それにシャルロットちゃんも同じ女の子がいた方がいいと思うからさ、ね」


 上条も手を合わせてお願いをする。

 確かにこのままだといつまで経っても班決めは終わらず、あいつは誘われないままだ。

 それに、もどきのことを忘れていた。

 喋り相手がいた方がこいつも楽しいだろう。


 そう決心し、僕は立ち上がった。


「おい、そこのリアル女。うちの班に入れ」


 って、なんで僕が立ち上がって言ってるんだよ。

 別に僕が言わなくてもいいじゃないか。

 無駄な労力を消費した。

 だが、熊倉の目を見ると輝いていた。


「う、う、う、う、う、うちが入ってもいいんですか〜!?」


 すごいどもってますよ、お嬢さん。

 僕は熊倉の近くにいき、右手を差し出した。


「いいぞ。よろしくな」


 今のよろしくはもどきのことをよろしくという意味だ。

 熊倉は左手を差し出し、僕と手を重ねようとした。

 こいつの手、結構柔らかいんだな。

 いやいや、所詮(しょせん)はリアル女だ。

 リアル女なんてたかが知れてる。


「おい!俺に構えって言ってるだろ!そんな女よりも俺を選べ!」


 まだ伊集院はぶつぶつ言っていた。

 なんだこいつ。

 もちろん、選ぶ気はさらさらない。

 なにより最大6人班しか作れない。

 そうなれば伊集院か熊倉かどちらかを切り捨てるのは必然的。

 だったら僕はもどきのためにも熊倉を選ぶ。


「お前は選ばない。もう少し性格が良ければ選んでいたかもな」


 僕は捨て台詞を伊集院に吐く。


「あ……」


 僕は熊倉の差し出した方の手を引き、うちの班に案内する。

 熊倉は困惑していたが、それ以上に様子がおかしかった。

 熊倉の表情は暗かった。

 そんな熊倉を僕は見つめる。


「どうした?」


「あの……やっぱり、伊集院くんも入れてもらうことってできないかな?」


 熊倉は上目遣いでこちらを見る。

 こいつ、正気か?

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