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コンビニに行くんだが?

 さて、今日も学校は休校で休み。

 別に引きこもれるから学校に行けなくても問題はない。

 前の副業であった学校に1日も休まず登校するというものは、当然学校のある日だけカウントされる。

 だから、休んでも問題ないということだろう。


 ということで、今日も拙者はぷらねっと神に手を合わせるでござるよ!

 いつもはパソコンの前にて手を合わせている拙者でござるが、パソコンは故障のため、スマホに手を合わせておこう。


 ソーシャル版であるスマホのロジカルファンタジーのタイトル画面を開き、扉の前に置く。

 扉の前に置いたのは理由はない。

 ただ、その方がよりぷらねっと神に近づけるのではないかという、拙者なりの持論あっての行動でござるよ。


 僕は手を2回叩き、目を(つむ)り一礼をする。


「今日もぷらねっと神のご加護がありますよう――」


「隆さーん!コンビニ行きましょーー!」


 扉が勢よく開き、扉と携帯が接触をし、携帯が遠くにはじかれる。


「ぷらねっと神ーーー!!」


「隆ー。昼ご飯はお母さん出かけるからコンビニにシャルロットちゃんと行ってきて適当なものでも買ってきなさい」


 下から母さんの声が聞こえる。

 コンビニに行けだ?

 冗談じゃない。


「そんなもの、もどきに全部買わせりゃいいだろ。僕が行く必要はない」


「あんた、好き嫌い激しいでしょ!!あんたも行きなさい!!」


 次の瞬間、ポケットに入っていたスマホが鳴り出す。

 僕はいつも通り確認をすることにした。


(コンビニに行く:200円)


「あ……あ、あ、あ、あ、あ……」


「行きましょう!!」


 もどきは嬉しそうに笑顔で答えた。

 副業の命令は絶対。

 無理にでも行けってことか。



「〜♪〜♪コンビニコンビニ〜♪」


 コンビニまでは徒歩5分。

 住人たちが行き交う中、街中を歩く。

 鼻歌を歌いながら歩くもどき。

 たく、なんで僕まで……


「なんでお前はそんなにもテンションが高いんだ?」


「だって、ロジカルファンタジーの世界にはコンビニなんてものがなかったのでつい、ワクワクしてしまって……」


「ああ、そうですか……」


 こいつはまた、ロジカルファンタジーのことを語りやって……!

 いつか、絶対にそれが失礼なことに値するということを教えてやる……!



 そうこう言っていたら、コンビニに着いた。

 赤と緑の兄弟が手を繋いでいる絵柄で有名なブラザーマート。

 ブラザーマートといえば、過去にロジカルファンタジーとコラボした時に、700円で1回引けるくじを全て僕が独占して引いてコンプリートした覚えがある。


「着いたぞ」


「うわあ……!ここが……コン……ビニ……!」


 もどきは初めて東京の某有名テーマパークに行った時のような反応をした。

 なんでそんなに驚くんだよ。

 たかがコンビニだぞ。

 もしかして、本当に初めてきたとか?

 いや、それはないか。

 コンビニなんて生きてりゃ誰でも来るところなんだし。


 僕ともどきは自動ドアを通り、中に入る。


「母さんに渡されたのは二千円。これを僕とお前でわけて買う。買い方は察して買え」


 丁寧に説明している暇はない。

 僕は早く、あれが見たいんだ!


「隆さんも買うんですよね?」


「後で買う。僕は少し野暮用がある」


 僕は早足で雑誌コーナーへと向かった。

 そう、コンビニに来たのは他でもない、月に一度発売される、ロジカルファンタジー特集を見に来たのだ。


 ロジカルファンタジー特集……


 ロジカルファンタジー特集……


 ロジカルファンタジー特集……


 ロジカルファンタジー特集……


 雑誌コーナーに着くと、もの凄いスピードで目を動かし、ロジカルファンタジー特集と書かれた雑誌を探す。

 もし見つかれば、最悪昼はいらない。

 その分のお金をロジカルファンタジー特集に使えばいい話だ。


 そして、僕の目はそこで止まった。

 ――運命の雑誌……ロジカルファンタジー特集に!!


 僕はそこに手を伸ばす。

 さあ、これを手に取りページをめくれば今回はどんな世界が広がっているのか、楽しみでござるよ〜!!


「ふへへっ!今日のピックアップ熟女は真知子ちゃんじゃあ!この、ぷりっとしたお尻が最高じゃの〜!」


 ムカ。

 誰だ、僕のロジカルファンタジーへの扉を邪魔するリアルは……!!

 僕のすぐ隣で、ある雑誌を読んで大きな声で独り言を言っている男がいた。


 僕は思い切って独り言を言っている男の顔を見る。


 その男は白い髭を生やした70代ぐらいのお爺さんだった。

 服装は、黒色のマントのような服装で、真ん中には紋章が描かれていた。

 あれ?

 この服、何処かで見覚えが……

 気のせいか。


 ふとその雑誌に目をいってしまう。

 そこには、月刊おかみさんと表紙に書かれたビキニ姿の50代くらいのしわしわのリアル女が浜辺で寝転がっていた。


 これは、ロジカルファンタジーを読んでいる僕はの侮辱と(とら)えた。

 シャルロットたんという美少女を、こんな熟女どもに汚されるなんて……!


「真知子ちゃん……!真知子ちゃん……!真知子ちゃーーーん……!はぁ……!はぁ……!はぁ……!」


 大きな声で叫んだかと思えば、息を荒くする爺さん。

 僕の心は怒りで満たされていく。


 次の瞬間、ポケットに入っていたスマホが鳴り出す。

 今回の副業はなんとなく予想がつく。

 確認をするとそこにはやはり、こう書かれていた。


(極兒を注意する:2000円)


 言われなくてもやってや――

 って極兒ってなんだ?

 この爺さんの名前か?

 昔の人は難しい名前が多いんだな。

 それに、2000円って……注意するだけで2000円が貰える?


 まあ、いい。

 とにかく今は注意するのが先だ。


「爺さん、他の人に迷惑だからあんま騒がない方がいいぞ」


 怒りを抑えて、爺さんに注意をする。

 本当はもっと怒りたいところだが、トラブルになるのは避けておきたい。

 すると、爺さんはこちらを向いた。


「おや?わし、独り言言ってたかの〜?すまんすまん!」


 だだ漏れだっつーの。

 スマホからは、副業達成を知らせるアラームが鳴った。

 これで2000円が手に入るのなら、安いもんだ。


 それと同時に、リーゼントヘアーの男5人組が店に入ってきた。

 破れた学ランを着て、アクセサリーをじゃらじゃら付けて、まるで昭和のヤンキーのようだ。

 うわあ、もっとトラブル起こしそうな奴らがきたな。

 その男たちはこちらに近づいて来て、僕の横を通り過ぎ、爺さんを5人で囲む。

 おいおい。

 大丈夫かよ、あの爺さん。


「おらおら!!爺さん、金だせやおら!金出さねえと、どうなるかわかってんだろうな!?」


「おらおら!」


「おらおら!」


 5人の男は案の定、爺さんに金銭を要求し始めた。


「ひぃ〜!!やめてくれ〜!!」


 爺さんは怯えていて、こちらに視線を送る。

 こっち見るなよ……!

 そりゃ、僕だってどうにかしたいと思ってる。

 だが、こんな奴らに勝てるわけないだろ!


 ということで、拙者は逃げさせてもらうでござる。


 僕は後ろを向き、そろりそろりと逃げる準備をしていた。

 と思ったら、ポケットに入っていたスマホが鳴り出す。

 馬鹿!

 やめろ!

 とりあえず、内容を見ないと僕が死ぬ可能性もある。

 ということで、急いで確認をする。

 どうか、ハードなものでありませんように……


 ――そう、心で願っていた時期もありました。


(極兒を助け、ヤンキー5人を倒す:8000円)


 ふざけるなあああああ!!

 ハードどころじゃない。

 あの時のような、副業が書かれていた。

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