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SFすぎるんだが?

 どうしてもどきがこんなところに?

 ていうか、ここはどこだ?

 じっともどきの瞳を見つめていると、もどきは口を開いた。


「驚かれるのも無理はありませんね。ここは病院です。隆さんはあのあと、病院に運ばれたんです」


「あのあと?」


 あのあとって……いつのことだ?

 僕は頭の中で考えた。


 学校内で起きた火災。

 その犯人と僕は天空城と戦った。

 そして、そいつをとり逃して……そこからの記憶はなかった。


「順番に説明しますね」


 もどきは真剣な眼差しで、こちらを見つめる。

 なんだ?

 なんでこんなにも真剣な目で見つめるんだ?


「隆さんは火傷で重傷を負い、病院に運ばれました。その、お腹の傷が証拠です」


 そっと、着ていた病院服を持ち上げ、お腹の周りを確認する。


「なんだ……これ……」


 そこには、赤く腫れ上がり、肌もひどくえぐれ上がったほどに傷を覆っていた。

 血は流れてはいないが、その傷は10センチほどのかさぶたになっていた。


「その傷は、今回の火災を起こした犯人…… 鉦蓄さんによって作られた傷です」


 鉦蓄……あいつか……


 だが、もどきは鉦蓄という男を知っているような口振りをしている。

 もどきの知り合いか?

 だとしたら、なぜあんな真似を……


 わからない……


「あいつのことを知っているのか?」


「はい。会うのは初めてですが、投資業界のインベストでは有名な人です。投資業界トップ4、鉦蓄。彼の能力は火を自在に操れる能力を持っています」


 投資業界……ということは、その男も投資家なのか?

 だったら、シャルロットたんのことを聞けたかもしれない。

 いや、あの時は殺すか殺されるかでそんな状況ではなかったか。


 そして、あの炎。

 あれはやはり、異能力だった。

 あれは明らかにこの世界のものではない。

 異世界人だ。


「インベストってなんだ?」


 今まで、インベストという言葉はもどきからは聞いたことがなかった。

 何か、重要な言葉のような気もする。


「こうなった以上は、隆さんにもお話しておいた方がいいかもしれませんね。インベストとは、この次元とは違う次元にある異世界です」


 別の次元って、どこのSFだよ……

 というか、あんな能力を見せられたら、驚くのも驚かない。

 今更、異世界と言われてもな……


「さっきも言った通り、鉦蓄さんはトップ4……ここの世界でいうところの、4番目に偉い人というべきでしょうか」


 わかりやすい例えだ。

 この世界で4番目に偉い人、みたいな立ち位置か。

 そんなやつに、僕は命を狙わらたのか。


「そこでは年に数回行われる、投資議会というものが存在し、トップ1からトップ6の投資家様たちが参加しています」


 投資議会。

 難しそうな議会だな。

 投資の話でもするのか?


「そして、トップとつく人たち6人はそれぞれ、能力を使えます。誰がどの能力を使えるかは、私にはわかりませんが、今回のことでわかったことは、鉦蓄さんは炎を自在に操れるということですね」


 トップ1からトップ6まで能力を持っているということは、あんなやつらがまだ、5人もいるってことかよ。


 その瞬間、不吉なことが頭に過ぎる。


 あの男は僕を殺そうとしていた。

 ということは、もしかしたら残りの5人も能力を使って殺しにかかるかもしれない。


 ――そうなった場合、僕はどうすればいいんだ……


「ていうか、なんでお前はそんなことを知っている?そいつらとはどういう関係なんだ?」


 さっきから黙って聞いていれば、もどきはすらすらと鉦蓄のことやインベストのことを詳しく語っている。

 こいつ、何か知っているな。


「えっと……それはー……」


 もどきは目を晒した。


「おい、何かお前、隠してるだろ」


「か、隠してなんかいませんよ!やだな〜、隆さんったら〜……」


 作り笑いを始めるもどき。

 やっぱりこいつ、何か隠している。

 そんなもどきに僕は少し、怒りを覚えた。


「答えろ!お前と投資議会の連中はグルなのか!?」


 グルだなんて信じたくはない。

 だが、こいつ自身を信じるためにも、こいつからは聞くべきだ。

 もしグルなら、今までの副業や鉦蓄の動きも、こいつが指示していたことになる。

 すると、もどきの表情は再び、真剣な顔に戻っていった。


「グルではありません。私を信じてください。仮に今、真実を話しても、隆さんは納得しないでしょう」


 グルではない。

 こいつはそう言った。


 だが、グルなら今までのやつも全て演技ということになる。

 そんなようには見えなかった。


 それに、これまでもこいつと過ごしてきたんだ。

 仲間を信じないでどうする?


「わかった。信じよう」


 僕は一言、もどきにそう言った。

 内心、こいつのことはどこか信じているから。


「ありがとうございます。私も、隆さんのことは信頼していますよ」


 もどきも僕のことを信じているのか。

 お互いに信じ合える仲。

 僕もどこか、昔とは変わったのだろうか――


「あれ……?そういえば、天空城は無事なのか……?」


 ふと、不吉な考えが脳裏をよぎった。

 天空城は鉦蓄を戦闘不能にまで追い込んだ。


 だが、反撃をされて……そこから炎の渦に巻き込まれて……そこから――


「天空城さんは……意識不明の重体です」


「……え……?」

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