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覗きイベントがあるらしいんだが?

「で、なんでお前がここにいるのかね、もどきくん」


 朝のSTが終わり、横にいるもどきに話しかける。


「だからもどきじゃありま――はぁ、もういいです。実は、隆さんのお母さんが学校にいない私を見かけてこの学校に裏口入学させてくれました」


「おい」


 だがよく考えると、こいつは孤児だったから学校にも行けてないのか…


「事情が事情なので、学校側も理解してくれましたよ」


「なになに〜?面白い話なら僕も混ぜてよ〜」


 横の席にいた上条が立ち上がり、割り込んできた。


 こいつには関係のない話だ。

 席を外してもらおう。


「えっと、上条くんだったっけ?君の思ってるほど面白い話でもないし、これは僕ら兄妹の話だから邪魔しないでくれるかな」


 少しきつい言い方だが、こういうやつにはこのくらい言っておけば、今後の関わりも減るだろう。


「え〜。いいじゃ〜ん。た〜か〜し〜く〜ん」


 上条は離れるどころか、ベタベタと僕の肩を揺さぶる。


 うっわ、うぜ〜。


「やめろ、気色悪い!本当にお前には関係ない話なんだよ!」


 もどきはこちらを不思議そうに見つめて目をパチパチさせる。


 やめろ。

 そんな(みじ)めな目で僕を見るのは。


「関係なくないよ!だって僕、隆くんのことが好きだから!」


 上条は離れて、真剣な眼差しで僕の目を見つめながら言った。


「…ッ!?」


 おい!

 何僕は一瞬何かが頭の中によぎったみたいになってるんだよ!


「なーんてね!ドキッっとした!?ドキッとしたでしょ!?」


 一瞬にして上条の表情が笑顔に変わった。


「お前ほんとうぜえな!」


「あっははっ!まあ、仲良くしてよ!シャルロットさんも」


 上条はもどきに向かって手を差し出す。


「はい!」


 その手をもどきは握る。


 勝手に仲良くなってるし。


「えっと…」


「上条でいいよ」


 上条は優しくそう言った。


「じゃあ、上条様で」


「さ、様…?」


 上条は目を丸くしてもどきを見つめる。


「もどき」


 僕はもどきに様付けはやめるよう合図をした。


「あ、えっと…上条さんで…」


 もどきはギクシャクした様子で上条な尋ねた。


「それでよし」


 上条も納得した様子だ。


 それにしても、こいつと会った時、僕にも様付けで呼んでたな。

 よほど孤児院できつい教育をされてたんだな。


「あ、そういえば隆さん」


 もどきは僕の耳元で(ささや)いた。


「5日後に健康診断があるみたいですよ。これはチャンスですよ」


「チャンスだと?」


 チャンス――

 副業のことか。

 期限は残り6日間。

 それまでに天空城空の下着の匂いを嗅がなければ死ぬ。


 だが、これを逃せばチャンスはもうないだろう。

 やるしかない…


「シャルロットちゃーん!一緒に飲み物買いに行こー!」


 クラスの女子がこちらに手を振り、もどきを呼ぶ。


「今行きまーす!」


 もどきも手を振り返した。


「それでは隆さん、上条さん、また」


「あぁ」


「バイバーイ」


 もどきは僕たちに丁寧に一礼をし、扉の奥へと消えていった。


 なんだ。

 友達ができるか心配してたけど、その心配はなさそうだな。


 僕とは違ってな。

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