もう一人の転校生はあいつだったんだが?
あれから5分ほど経った。
だが一向に来る気配がない。
教師も立ちながら貧乏ゆすりをしていた。
僕はふと隣に座る上条を見る。
上条は口笛を吹くふりをして暇そうにしていた。
こいつ、顔は結構いい方だな。
そんなことを思いつつ、なぜかしばらく見つめる。
すると、上条はこちらの視線に気づいたのか、こちらを向いて笑顔で手を振った。
やめろよ、気色悪い。
僕はそっと俯いた。
なんだこの茶番。
ていうか、早くこいや転校生。
「遅いな、東條。事故でもあってないといいが…」
教師は独り言で何かを呟いた。
東條?
話を聞く限り、僕のことではなさそうだが。
転校生のことか?
あぁ、よくある同じ苗字ってやつか。
にしても珍しいな。
東條なんて苗字はあんまり聞かないが。
ん?
何か外で音がする。
廊下からズタズタと誰かが走ってくるような音が聞こえた。
僕は顔をあげて音のする方向へ確認する。
その音はだんだんとこちらへと近づいてくる。
そして、その音は止まり、扉の前に人影が現れた。
「え?何?」
「怖いんだけどー!」
それと同時に、あたりもざわつき始める。
僕は黙って扉を見つめる。
これはこれは、驚かすと見せかけて、美少女の登場!
というやつですな!
まあ、拙者はシャルロットたん以外興味ないでござるが――
「遅れてすみませーん!」
その瞬間、扉が開き、どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。
「一様、理由を聞こう。どうして遅れたんだ?」
「それはもちろん、ここの世界に来たのは初めてなので迷子になってしまいました」
周りの連中は沈黙をしだし、教師ですら口を開け、唖然としていた。
「あ、隆さーん!」
その女はこちらに手を振り出した。
僕はゆっくりと目をそらし、見たくもない上条の方を見る。
上条は正面の女を見て、なぜか笑顔だった。
「じゃあ、東條。自己紹介を」
「はい!東條シャルロットです!家庭の複雑な事情で転校してきました!そして、あそこにいる隆さんの妹です!」
もどきは笑顔で自己紹介をした。
すると、再びあたりはざわつきだす。
「うおーーー!!可愛ーーー!!」
「え!?あの東條の妹!?」
なんだこいつら。
騒がしくなったり静かになったり。
あとで問い詰めてやる…
「へぇ〜。隆くんの妹さん、可愛いね〜」
隣にいた上条もこちらを向いて便乗しだす。
お前もかよ。
「静かに!!」
教師が再び収集をつける。
「席は――東條の横が空いてるな」
横?
僕は上条とは逆の方向を向いた。
「なんで席に誰もいないんだよ!?」
隣の席はさっきの上条の席同様、空席だった。
都合が良すぎだろ!
「じゃあ、東條の横に座ってくれ」
「はい!」
もどきはこちらに向かって歩いてくる。
「ちょ、待っ――」
「学校でもよろしくお願いしますね。隆さん」
もどきはこちらに向かってにっこりと微笑んで席に座った。
こうして僕は、上条樹ともどきによって、学校生活での自由が奪われたのであった。
大げさな言い方かもしれないが、視界に入ったことと、ちょっかいをかけるであろうという仮定だけで十分な理由だ。
僕の日常はいつになったら平和が来るのやら――




