あいつが再来したんだが?
「ねえねえ!隆くんって彼女とかいるの?」
「どんな女の子が好きなの?」
「メアド交換しようよ?」
どうしてこうなった?
授業が終わり、放課に入った途端に僕の席にリアル女が囲い出して身動きが取れないんだが。
「今度の日曜日空いてる?」
「やっぱり、東條くんも一人でしちゃう系の人な――」
「うるさあーい!!リアル女が僕に話しかけてくるな!」
僕は大声で女どもに注意を促した。
こういう女どもにもガツンと言ってやらないと――
「キャーーーーーッ!!東條くんかっこいーーー!!」
「もっと私を叱って…!罵ってーーー!!」
女どもは数十人で僕に抱きついてきた。
「ギャーーーッ!!やめろーーー!!」
足は踏まれ、呼吸ができないほど囲まれた。
でも、女子たちのお胸も、拙者の肌に当たって・・・
当たって…
ああっ…
あーーーッ!!
「お前たち、その辺にしといてやれ」
「え?」
その一言で、女たちが僕から離れていった。
救世主!?
やはり、この世界線にも我を助けるエージェントがいたというわけか――
「え〜、いーじゃん妃〜」
「東條が困ってるだろ?それに今はみんなが見てるだろ?襲うなら帰りに襲ってやれ。その方が東條も喜ぶからな」
あれ?
この声どこかで聞いた覚えが――
――僕は恐る恐る声のする方へと振り返った。
「な、東條?」
「…ッ!?お前は、あの時の…!?」
僕は忘れない。
こいつはシャルロットたんを傷つけた女。
許さない。
許さない。
許さ――
その瞬間、頭をポンと叩かれて、小さな声でなにかを呟いた。
「悪かったな、東條」
「…!?」
悪かった?
悪かったと今言ったのか?
いや、僕はこいつを許すわけにはいかないんだ。
許すわけには――
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
頭の中で何かと何かがシェイクされる。
困惑という言葉が頭の中で浮かんだ。
違う。
僕は許さないんだ。
狂ったかのように群がっている女子の群れを掻き分けて教室の扉まで行き、廊下へ飛び出した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
「止まれ」
廊下を走っていると目の前には一人の女がいた。
肩にワッペンのようなものをつけて、仁王立ちをしている。
僕は今、どうすればいいかわからないんだ。
だから走っている。
そう、走れば答えが見つかると思って…
「止まれと…言っているだろう!!」
バンと膝を蹴られる音。
その瞬間、回し蹴りをくらい、僕は膝をついた。




