正義執行管理局の日常 5
初めは赤城も驚いていたが、なんだかんだ乗り気になっていた。かれこれもう三時。撮り始めて四時間が経過! ここからが後半戦!!
「ここからは私も混ざっちゃおうかな! あー、でも赤城のためだけだったから一着ずつしか持ってないや」
「やっぱり私用だったのですね。それなら大丈夫です! 同じ系統の服なら私もいくつかあるので、それで2人分! お互いのを交換して着ましょう!」
赤城は加賀の持っているやつで同じ系統のやつがいくつかある。赤城と加賀は体格が似ているため、赤城を加賀が着ることができる。赤城のは加賀が着て加賀のは赤城が着ることに。
二人は同じ系統の服をお互いに交換して着るようにした。
「さっすが天下のコスプレイヤー赤城! おっけい! それでいこー!!」
早速加賀が取り出したのはミニスカートのポリス服! 通称、ミニスカポリス! 先程のブルマもそうだが、体のラインがくっきりと現れ、太ももが見えるくらいのスカート丈の警察なんてどこにもいない。
しかあああああし!! コスプレともなれば当たり前! コスプレはそれだけ無限大の可能性を秘めた人類の叡智を最大限に活かした娯楽!
加賀が出したものを赤城は着る。対して赤城の出したポリス服は加賀の出したものと同じく、ミニスカートで太ももの見える似たようなもの。でも一つだけ違うものがある。それが、胸元が見えること! ミニスカポリスのコスプレとはいえ、これは希少価値! ミニスカポリスと胸元の組み合わせはもうやばい。
これではどちらが秩序を乱したいるかわからない!
「赤城こんなマニアックなものまで持っているとは……」
「ちょっと背伸びしたくて……その……つい……!!」
恥ずかしそうに言いながらお互い交換した服に着替える。
今回は加賀も写真に映るため、写真はタイマー。カメラを縦に固定し、お互い付属のモデルガンを構える。
「にしてもこの服……我ながらエロい……」
「加賀だってこの服、コスプレの何たるかを分かっているように見えますが?」
「いやあ〜、それほどでも〜! じゃあ、いくよ!!」
「はい!!」
『カシャッ!!』
シャッター音が聞こえ、二人はポーズを決める。銃を構え、お互いついになって背中合わせ。顔はもちろん、カメラ目線! さらにシャッター音が何度も聞こえる。その度にポーズを変えていった。
そんな夢のような二人のコスプレショーはいつの間にか幕を閉じ、二人は赤城のベッドで寝ていた。
朝の六時半。朝食の時間にはまだ早い。そんな二人の部屋の扉の前に可憐が来た。
可憐の手には数枚の資料。両腕で抱え、部屋の前に着くとノックをした。
『コンコンッ』
反応はない。この扉は厳重な自動ドア。内側から開けるか、赤城か加賀、もしくは局長である可憐の持つ電子キーでしか開くことができない。
そのため、部屋についていたインターフォンを押す。
そのあとに内側に声が聞こえる音声ボタンを押しながら喋りかける。
「加賀、赤城。こんな朝早くからごめんなさい。ちょっと確認してもらいたいことがあるのだけど……」
「……」
音声ボタンを押せば部屋の内側に外側の音声が聞こえるようになっているが、それでも返事がない。
あの二人が気づかないなんて滅多にない。
もしものことがある。そう思い、可憐は電子キーを取り出して扉の取手口に読み込んだ。緑に光り、扉は自動的に開かれる。
ゆっくりと部屋に入っていくが、周りにはいろんな服が散乱していた。コスプレ趣味の赤城と関係があることはわかってはいたが、何でこんなに散乱しているのかがわからなかった。
赤城は几帳面。だから着た服はすぐしまうはず。
足を進める。
(あの子たち、どこかしら?)
部屋は見た感じいない。一箇所だけ除けば。赤城のベッド。まあ、この時間だし寝てるならベッドよね。でも、なんで加賀のベッドには加賀はいなかったの?
赤城のベッドへと向かっていった可憐。
「加賀、赤城。勝手に入ったしまってごめんなさい。確認したいことがあって――ぇぇぇえええええええぇぇぇぇ!!??」
そこに確かに二人はいた。ちゃんと寝ている。赤城と加賀が仲良く寝ているのなら別にいい。でも、二人の服装はお互いパンツのみ!? 他は何も着ていない!?
「ちょ、ちょ、あ、あなたたちが……まさか……ここまで進んでいたなんて……」
「んん? かれん〜? おはよ〜……」
「可憐……おはよう……です……」
可憐の声に寝ぼけ気味で目を擦りながら二人は起きる。二人は朝の挨拶をしたが、可憐の衝撃はそれどころではない。
「あ、あの服は何っ!? ま、まさか、そういうプレイを……!?」
可憐は震える手で散乱する服を指さす。ナース服や警察服。よくわからないけど、幼稚園服まである!?
可憐の頭では理解が及ばない領域ばかりが広がっていた。
加賀と赤城は寝起きで頭がよく回っていない。
「うん……昨日はお互い、かなり激しくなっちゃって……」
「は、激しっ……!?」
「はい……五時間以上もしちゃって……」
「ご、五時間んんんんんっ!!?? な、なんてことを……」
可憐は頭を押さえて参っていた。自分の信頼する部下二人がまさかこんなことをしているなんて……しかもコスプレ……五時間……ああ、私はどこでこの子たちの教え方を間違ってしまったのかしら……
かなり参っていた。自分はちゃんと模範になれるようにいろんなことを教えて来たはず! でもこんなことを教えたことなんてない! でも可憐のその驚きようは加賀たちにはさらに別のものに見えていた。
「可憐ももしかしてしたかった?」
「しないわよっ!! あなた朝っぱらから何考えてるのっ!!」
「三人でも私、してみたいです。きっといい夜になること間違いなしです」
「さ、三人って……!! 赤城……! あんたまでっ……!? う、うわあああああああっ……!!!!」
奇声を発しながら持っていたプリントを部屋に落として廊下へ出ていった。加賀と赤城は可憐が何であんな反応をしたのかわからなかった。
去っていく可憐が通った場所を寝ぼけた目で二人は見る。
「可憐どうしたんだろう……」
「徹夜してたから疲れてたのでしょう。後で朝食のデザート分けてあげましょう。それより加賀」
「んー?」
この日は二人で一番の朝の思い出を作った初めての日となった。楽しく夜を二人で過ごした女子会。お互い、隠すことのない最高のひとときであったとさ。
「続き、しましょう」
「うん、しよっか」