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サービス回なんだが?

 それにしてもなんであんなに母さんは怒っていたんだ?

 僕が階段から降りていった時に片付けをする前以上に怒っていたな。

 確かに学校行ってなかったことに関しては怒るかもしれないし、明日で留年確定の二十日目になる。

 だが、母さんにとっては見慣れた光景だ。


 じゃあ理由はなんだ?


「とりあえず、1ヶ月ぶりのお風呂を満喫しますかねえ〜」


 湯船の中で伸びをした。

 僕は今お風呂に入っている。

 とはいえ、お風呂に入ることは掃除同様、必要なことだとは思わないんだがな。

 その時間がロジカルファンタジーに使えると思ったらどれだけ尊いことか。


「失礼します」


「ん?」


 ガチャリとお風呂のドアが開き、人影が見え――


「うわぁ!?も、もどき!?」


 そこにはバスタオル一枚で登場したもどきがいた。


「むぅ〜!なんですか、人を化け物みたいに言って!ていうか、もどきってなんですかもどきって!」


「ふっ!拙者から見ればこの世の女は全員化け物同然!そしてお前のことは今日からもどきと呼ばせてもらおう!なにがシャルロットだ!絶対に僕はその名では呼ばないからな!」


 僕は目のやり場に困りつつ、はっきりと言った。

 それにしてもこいつ、リアル女のくせに生意気な身体してやがる…

 透き通るような白い肌に、引き締まった、贅肉(ぜいにく)のない体つき。

 そして、豊かに育った胸。

 その身体つきはまさに、モデル体型と言え――


 って、なに僕はリアル女ごときにこんなにも――

 こんなにも――


「隆さん?どうかしまし――って、隆さん!どこ見てるんですか!?エッチですよ!」


 気がつくと僕の視線はもどきの乳房を見ていた。

 なんで僕がこんな女に――


「み、見てねえし!!全然!そう、全然!!」


「べ、別に、私の身体は隆さんのものなのでいいんですけど…」


 もどきはボソッと何かを呟いた。そんなことよりも僕は、こいつに聞きたいことがある。


「おいもどき。母さんはなんであんなに怒ってたか知ってるか?」


「なんででしょうね。私がここのお父様の隠し子と言ってから、あんな感じで離婚してやるーって言って怒ってましたけど」


「それだよ!」


 おそらくもどきがどういう理由で言ったかは知らないが、隠し子と言ったことによって父さんに腹を立てていたんだな。


「え!?私が原因ですか!?」


「何もかもお前が原因だよ!お前は僕の家庭も壊す気か!?」


 本当にこいつが害悪に感じてきたぞ。いつになったら出て行くのやら――


「大丈夫ですよ!もしそうだとしても、私が隆さんの妹として関係を修復させてみせますので!」


「え?今なんて?」


 僕の聞き間違いでなければこいつは今、妹と言った。

 当然僕に妹なんていない。


「隆さんのお母様が私のことを隆さんの義理の妹として育ててくれると言ってくれたので、ここに住まわせてもらうことになりました!」


「――お前、本当に帰る場所がないのか?」


「だから最初から言ってるじゃないですか!私には帰る場所がないって――」


「わかった。そういうことだったのか」


「え?」


 その瞬間、僕は納得した。


「お前、孤児院かどこかで育てられたから帰る場所がないってことか」


「えっと、違うんで――」


「言わなくていい。その孤児院から抜け出してここに来たってことだな。辛かっただろう。そういう理由ならここに住んでいいぞ」


 こいつは孤児院で過ごしてきて親という温かいぬくもりに触れてみたくなったんだな。

 僕だったら耐えられるが、普通の人間なら耐えられない。

 それで、母さんに隠し子という嘘をついて我が家に来たんだな。

 だったら、迎えるしかないだろう。


「勝手に納得しちゃってますが、まあいいです。部屋は隆さんの部屋を使ってとお母様は言っていたのでそうさせてもらいますね」


「え、ちょ、それは――」


 タカシアイランドは入国禁止の島国なんだが、理由が理由すぎてはっきりと否定ができなかった。


「てか、なんでお前はお風呂にいるんだよ!」


 今更だが、もどきはなぜかお風呂にいてバスタオル一枚のまま、突っ立っていた。


「掃除をして汚れたから兄弟水入らず、お風呂に入って来なさいってお母様から言われましたので」


「出る」


「えー、もう出ちゃうんですか?洗いっこしましょうよー!」


 もどきはぴょんぴょん跳ね出した。

 乳房が揺れていてどうしてもそちらを意識してしまう。


「ガキか!とにかく僕は出るからそこをどけ」


 ドアの前にいたもどきをどかして湯船から出る。


「た、隆さんのあそこ、おっきくなってます…私、男の人のあそこは初めて見ました…」


「え?」


 もどきは頬を染めていた。

 僕はもどきの視線をたどる。

 そこには、僕のエクスカリバーがあった。


 せ、拙者のエクスカリバーが…

 拙者のエクスカリバーが…!!


「ぎゃーーーーーーーーーー!!」


 僕は一目散にお風呂場を出た。


 もう…もうお婿に行けない…



 こうして僕の投資家としての投資生活が始まることになった。

 投資をして利益を得る。

 副業をしなければ終わる。

 僕はこれからどうなってしまうのか。

 そして、もどきとの生活において、理性を保てるのだろうか。


 ――僕は家のドアを開け、外へ足を踏み出した。

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