彼女を女にしてしまったんだが?
なんだ、この状況。
偽シャルロットたんに、息子の顔を忘れてる母さん。
そして、下敷きになっている僕。
どうなっているんだ?
というより、鉄の塊が腰にダイレクトしてて痛いでござる〜。
「だって、隆はのろまで、グズで、あんなにも太ってて、トイレもオムツやペットボトルで済ませて、お風呂も1ヶ月入らない引きこもりで――」
「そこまで言う!?」
まあ、全部事実でなにも反論できないんだが。
「まあいいわ。とにかく、このゴミみたいな部屋とアンモニア臭みたいな匂いをなんとかして遅刻でもいいから学校に行くこと!いいわね?」
それだけ言うと壊れたドアを放置して去っていった。
「たく、なにしてくれてんだよ」
このドアどうするんだよ。
タカシアイランドの入門ゲートだぞ。
なんて事しやがる、あのババア。
だが、背中には無数の鉄板の重みがかかり、抜け出すことができなかった。
「あのー、手伝いましょうか?」
上からもどきの声が聞こえる。
「こんな重いのを持てるわけないだろう。大丈夫だ。自力で出れ――」
「うんっしょ!持ち上げられました!」
「持ち上げた!?」
もどきは鉄板をいとも簡単に持ち上げた。
その隙に僕は抜け出した。
「ふぅ〜、助かった〜。にしても、すごい力だな」
「むぅ〜!隆さん、女の子にそんなことを言っちゃダメなんですよ!」
「あぁ、悪い」
なんでこんなやつごときに謝ってるんだ?
所詮はリアル女だ。
謝る価値もない。
「そもそも、こんな体にしたのは隆さん…なんですからね」
なぜか顔を赤らめ、僕のせいにする。
「勝手に人のせいにするなよ!」
「あ、あれだけ激しいプレイをして、私をお、女にしてくれたのに」
そしてこのもじもじだ。
彼女は股の間に手を入れてもじもじしだした。
「誤解を招くような言い方はやめろ」
「だって本当のことじゃないですか!強力なモンスターと戦った激しいプレイ!可愛らしいコスチュームなどを着させてくれて女にしてくれたじゃないですか!」
またこれか。
「またシャルロットたんのなりきりか?いい加減にしろ――」
僕の声と重なるように、ポケットに入っていたスマホが鳴り出した。
なにか、嫌な予感がする。
「開かないんですか?」
「…」
ポケットからスマホを取り出すが、その先をなぜかためらいが出てしまう。
これを開いたらなにかカッコ個人的カッコ閉じなものが失われる――
そんな気がしたからだ。
「ええーい!どうにでもなれ!」
ロック画面を見た瞬間、画面に文字が浮かび上がった。
(部屋の掃除:200円)
(学校に1日も休まず登校する:1000円)
こうして僕の引きこもり生活は終わりを告げるのであった。