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正義執行管理局の日常 その2

 正義執行管理局。

 政府公認の日本を裏で支える十代の少女のみで構成された秘密組織。団員の数は百人ほど。平和を守り、市民の笑顔を守る。日々の訓練から強力な肉体や武器の扱い、そのほか様々な武道スキルを取得している攻防戦のプロフェッショナル。


 その中でずば抜けて強力な少女が紫可憐。この世の全ての武器を扱えるだけでなく、体術もかなり優秀。噂では一人でテロリストの潜水艦を無力化させたことがあるとか。近距離、中距離、遠距離、全てにおいて対抗できる。まさしく人類最強。そのため彼女は政府から管理局の局長というポジションをもらっている。


 管理局ナンバースリー、加賀。彼女も近距離、中距離においてかなり優秀な存在。武器はモーニングスター。彼女の体は小柄だが、彼女の四倍の重さはあるモーニングスターを軽々と持ち上げる。モーニングスターでの攻撃においてはプロ野球選手が本気で鉄球を投げるほどの威力を持ち、防御においては遠距離での銃弾はモーニングスターをシールド代わりにして防ぐことができる。


「可憐。本当に赤城置いてきてよかったのです〜?」


「大丈夫よ。後処理はなんとかしてくれる子よ」


 そしてもう一人。管理局ナンバーツー、赤城。彼女は近距離特化でかなり優秀。武器は剣。だが彼女の剣はただの剣ではない。最高の科学技術で作られており、彼女の音声認識一つで炎、氷、自然、光、雷をつけることができる。炎なら刃に全てを燃やす炎が宿り、氷なら刃に全てを凍らせる氷が宿るなどなど。音声は赤城にしか反応しないため、この武器は赤城専用となる。まるで異世界ファンタジー小説にありそうな武器。赤城を含めた管理局にいる少女たちはエレメンタルソードと呼んでいる。


 ちなみに今回赤城は不在。先ほどまで紫可憐、加賀、赤城、そのほか一部の部下たちは遊園地でヒーローショーの民間活動を行なっていた。しかし、付近で強盗があったとの情報で赤城のみを残して目的地へと向かった。遊園地の運営の対処やその他もろもろは赤城に任せたのだ。


「目的地に着いたわ」


「お仕事の時間だぜ」


 可憐たちは車から降りた。目の前には銀行。他の銀行よりは少し大きい、日本のメガバンクと呼ばれている。今回の任務は銀行強盗の鎮静化。強盗は五人。いずれも中肉中世の男。すでに周囲には警察が囲んでいる。だが、警察も下手に動くわけにはいかない。相手は人質を取り、立てこもっている。全員、ナイフまたはピストルを所持。

 硬直状態が五時間も続き、警察もお手上げ状態。そのため警察は政府の指示で管理局を呼んだのだ。


「どうも、正義執行管理局局長紫可憐です。状況は?」


「犯人は五人。いずれも中肉中世の男。一人は人質を取り、後の四人は金を調達している模様。全員ナイフ、ピストルを所持しています」


 その場を任せられた一番偉そうな警察から情報を聞いた。それだけ聞くと可憐は再び来たバスに戻る。


「ありがとうございます。ではここからは我々に任せてください」


「ちょ、ちょっとあんたどこに――」


「どこって決まってるじゃないですか。任務を遂行しに行くのですよ」


 彼女はバスには乗らず、バスの目の前に立つ。加賀は今から何をするかを知っているためニマニマと笑う。加賀にとってはもう見慣れた光景だからだ。


「敵探知サーモレーザー展開! 探知開始!」


 その一言でバスの中から大型の探知機が出現する。それは銀行に向けられていた。探知機のパラソルが開くと、静かなモーター音が鳴り響く。

 その場にいた警察や野次馬たちは驚いて何も口にできない。なんだあの機械は。何をしているんだあの女はと小声で言ったいる。

 可憐は耳を傾けず、どこからともなくタブレットのようなものを取り出す。タブレットには銀行の中の光景、さらには人がカラフルに映し出されていた。

 それを目の前の銀行と交互に見る。

 彼女には見えていた。銀行の障害物や地形、犯人や人質の位置まで全て把握していた。

 タブレットに写っている人型は体温で色が変わるサーモグラフィーのような働きをしている。

 いかにも怪しくうろうろと銀行内を歩いているのが犯人。ほとんど動いていないのが人質たち。仮に人質が動いていたとしても彼女にはそれが人質だと認識できる。プロなのだから。


「わかりました。では行ってきます」


「ちょちょちょちょちょっと待て! 大丈夫なのか!? 万が一、人質を傷つけたりしたら……!」


「大丈夫です。我々は人質を傷つけない、疑わしきものは罰しないという方針のもと動いている組織ですから」


 可憐は一人で銀行に乗り込もうとしているが、警察はそれを心配していた。可憐の活躍は少しではあるが警察たちも耳にしている。しかし、本当にできるとは思ってはいない。まだ未成年の少女たちができるはずがないと思っている。何よりこの警察は警察の中でも偉いポジションにいる。もし失敗でもした時には自分の首が飛ぶことがあるため、それを恐れていた。


「いや、でもなあ……」


「長官! 犯人からの要件が! 軽食を持ってこいとのこと!」


 一人の若い警察が長官に伝える。若い警察は犯人と通話をしていた。そのやりとりを可憐は聞かないはずもない。


「連中め……どこまで俺たちを弄ぶんだ……」


「プランAをプランBに変更。あなたたちは今すぐ近くのコンビニで食料を人質と犯人の人数分の半分買ってきてください。そこからそれを全部ダンボールに詰めて我々に渡してください」


 その場にいた警察たち全員に指示を出した。その中にいる全員が可憐より年上。なんで年下の命令を聞かなければいけないのだろうかと憂鬱になる警察までいた。それを代弁するかのように長官は口を開いた。


「はあ!? あんた何を言ってるんだ!? しかも半分ってだと!? 量が足りなくて犯人を刺激でもしたらどうするんだ!?」


「ごちゃごちゃ言っていないで行ってきてください。そのあとは我々に任せて」


「ぐっ……! お前ら行ってこい」


 長官は部下たちに不満そうになりながら指示を出した。部下たちのほとんどは近くのコンビニに走って駆け寄る。側から見たら異様な光景。長官は年上である自分たちをこき使っているため、唇を噛みながら怒りを抑えていた。

 そんな長官を見向きもせずに可憐は銀行を見ていた。

 加賀が近くに寄り、可憐に声をかける。


「なんで半分なの?」


「そのうちわかるわよ。というか、あんたにも働いてもらうから今のうちに準備運動でもしといたら」


「ひえ〜。私も強盗と戦うの〜? 怖いにえ〜怖いにえ〜」


「嘘おっしゃい」


「バレちったっ……! てへっ……!」


 目の前で銀行強盗が起きているにもかかわらず、可憐はものすごい冷静。加賀はそれとは正反対にワクワクしているように見えた。その間に加賀には作戦を伝えた。一様長官にも教えるが、「あなたたちは取り押さえる時以外は手を出さないでください」と一言言った。

 長官も反発したいところだが、バックの政府に恐れ何も言えない。渋々可憐たちに任せることにした。

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