タカシアイランドの危機なんだが?
僕はパソコンの画面に集中し、キーボードを一心不乱に打つ。
「隆さん?なにをしているのですか?」
後ろにいるもどきが顔を覗き込む。
「見てわからないのか?」
「いや、わからないから聞いているのですが」
「タカシアイランドのセキュリティシステムを起動しているのだよ。よし、これで!タカシアイランドセキュリティモード、起動!!」
力強くエンターキーを押す。
すると、扉からすごい音がした。
「おお!扉の前に鉄板みたいなのが何枚も!さすがは隆さんですね!」
扉の前にはいくつもの鉄板が出現した。
そして、なぜか褒められた。
まあ、悪い気はしないが。
「なにをしているんだ、軍曹!これは命令だ!扉をもっと厳重にせよ!」
「イ、イエッサー!!」
もどきはどこかの軍人のように敬礼をし、近くにあった棚を持ち上げて、扉の前に置いた。
あれ?
その棚、結構な重さがあるぞ。
それをいともたやすく持ち上げるとは――
「隆!?いるんだろ!?出て来いやー!!」
母さんはすでに扉の前にいた。
「まずい、母さんだ!急ぐぞ!!」
僕も席を立ち上がり、もどきと同じく扉をより厳重にし、封鎖をする。
その間に母さんはガチャガチャとドアノブをひねり出す。
だが、当然開かない。
「ふっ!甘いなお母様!貴様の前には木の扉だけでなく、その後ろには無数の鉄板が立ち塞がっているのだよ。さあ、母上!この最高レベルのセキュリティを突破、できるか――」
その瞬間、扉が吹き飛んでこちらに向かってくる気がした。
え?
吹き飛んだ?
こちらに向かってく――
「ぐはっ!!」
そして僕は、吹き飛んだ扉と自ら召喚した鉄板によって潰されたのであった。
「隆様!」
「隆!!いい加減にしなさいよ!!なに学校に行かずにセフレといちゃついてんのよ!?」
鉄板に押しつぶされながらも、母さんを見る。
母さんはもどきを指差していた。
「いえ、私はセックスフレンドではなく、ロジカルファンタジーからやってきましたシャルロットです」
「正さんでええわ!!」
もどきはなんのためらいもなく、セフレを正した。
たく、そういうことを女が簡単に言うなよ。
これだからリアル女は――
「なに?そのロジカルファンタジーって?ってか、あんた誰よ?」
「ですから私はシャルロットで――」
「いや、あんたじゃなくてそこの下敷きになってる人」
「母さん!?」
なぜか母さんは実の息子を覚えていなかった。
いくら1ヶ月部屋から出なかったからってそれは酷いだろ。
「母さん?私の息子は隆だけよ!!」
「その隆が僕だよ!」
僕は声を張り上げて言った。正直ショックだった。
実の息子の顔を忘れられるなんて。
「え?えぇーーーーーーーーーー!!」
母さんは腰を抜かし驚いた。
いや、驚くのはこっちだよ。
なんで僕の顔を忘れるんだよ。