彼女との思い出は儚く散ったんだが?
いとしのシャルロットたん。
僕の生きがいのシャルロットたん。
そして、将来を誓い合ったシャルロットたん。
そのシャルロットたんが消えた…?
こんなの、何かの間違いだ。
設定に異常があると思い、ゲーム内の設定を色々変えてみる。
「映らない……どうしてなんだ……」
カチカチとなるマウスの音。視線を画面に泳がせるが、何をしても映らない。
「どうしたんですか?」
僕はパソコンを無我夢中で触っていると、シャルロットもどきが後ろから顔を覗かせた。
「いないんだよ……シャルロットたんが……」
ボソッと僕は呟いた。
こいつなら何か知ってるんじゃないか?
だが、僕の頭にはあることが頭に浮かんだ。
「だから、そのシャルロットがここにいるって何回言えばわかるんです――」
「お前がやったのか…」
「え?」
「お前がシャルロットたんを殺したのかーーー!?」
「なんでそうなるんですか!?」
こいつが来てからおかしなことばかり起きている。
シャルロットたんが消失したのもこいつのせいに決まっている!
「お前はシャルロットたんを愛していた。だが、僕とシャルロットたんとの仲睦まじい関係が憎くて憎くてたまらなかった」
「は、はぁ……」
「そこで、夫である僕ではなく、妻のシャルロットたんを殺すことにした。いいか、これだけは言っておこう。ヤンデレが許されるのは2次元だけだ!お前みたいなやつはヤンデレではなく、サイコパスっていうんだよ!」
僕はこいつを許さない。
僕とシャルロットたんの仲を引き裂く存在。
そんなやつを生かしてはおけん。
「もう頭にきました! いいですか! この際、私も言わせてもらいますが、隆さんの悪いところはそういうところですよ! すぐに被害妄想をして人様に迷惑をかけるところです!」
「知ったような口を聞くな! まるで、僕のことをいつもみているかのように言いやがって!」
「いや、いつも見てましたから」
「えーい!こうなれば!」
僕は近くにあった空のペットボトルを手に取り、彼女の頭に殴りかかった。
「シャルロットたんの仇!!」
「全然痛くありませーん」
ペットボトルはパコパコと音がするだけでびくともしなかった。
「おのれ!防御のバフを積んだから効かないということか!だが、拙者の拳を受ければ貴様の息の根は止まるだろう」
武道には自信がないが、たとえこの身が滅びようとも、シャルロットたんの仇を打てればそれでいい!
左手の拳を引き、右手の拳を彼女に突き上げた。
「はぁ……もう話を合わせるしかありませんね」
「何ッ!?」
瞬間、僕の拳をガシッと片手で捕まれた。
なんだ、この力は!
そして、このリアル女は一言こう言った。
「こんなことして何になるんですか?復讐は何も産みません。死んだシャルロットさんが悲しくなるだけですよ」
「……ッ!?」
死んだ……こいつは今そう言った。
やはり、シャルロットたんは死んだのか……
気がつくと僕は泣いており、画面がぼやけて見えていた。
「あと、もう何言っても信じてもらえないですが、もう一声言うと、私は本当に殺してません。というかそれ私で、ロジカルファンタジーの中から出てきただけです。ですが、一つだけアバターを取り戻す――生き返らせる方法があります」
「あるのか!?そんな方法が!?」
この際、豚を1匹犠牲にすることでも、世界に散らばる7つの秘宝を集めるでも、なんでもいい!
とにかく、生き返らせることができるならそれに懸けるしかない!
「私を信じて投資をしてください。そうすれば、シャルロットさんのアバターは戻る…とでも言っておけば、少しは投資をする気になるでしょうかね」
またこの言葉か。
もう何回聞けば、こいつの気がすむんだよ。