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制服。そしてスタート

1週間って早い…

「本当に気分大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」

母曰く、望んでいたスキルと違うせいで倒れることは稀にあるらしい。

でも、母に僕が【格闘家】だと伝えたせいで混乱が起こっているらしい。

僕がダンジョン向けの職業を求めているのを知っているから。

…墓までこの秘密を背負っていくのかぁ………


本当ならあの後【制服】を手に入れる予定だった。

でも僕が倒れてしまったせいで僕だけ受け取れなかったらしい。


職業ごとに対応した服。

それが【制服】。

【道化師】ならタキシード。

【格闘家】なら格闘着。

それぞれに決まっているはずだ。

そしてそれ以外のものは着ることはできない。

なら、僕はどうなるんだろう。

何かいいスキルを。


〈スキル【変装術】を発動しますか?〉

もちろん。だって僕が尋ねたんだよ?

〈了解〉

で、どういうスキルか僕はまだ詳しく聞いていないんだが。

〈他職業の制服を着用できます〉

うん。知ってた。だって僕が尋ねたんだよ?


で、神殿にもう一度向かう。

さっきとは違う部屋に入る。

もうどこを歩いているんだかわからないけど。

《職業神》の紋章の上に立って祝福を受ける。

神官の手から出てくるキラキラ光るもの。


僕の体に巻きつく。

手に、足に、体に。

それは触ることのできないものから布に。

無色透明から橙色に。

ぴっちりとしたものからだぼっとしたものに。

一部は縮み。

一部は伸び。

一部は白に。


誰が見ても何度でも感嘆の声をあげるであろう。

それほどまでに美しかった。

そして光が収まると僕は格闘着を着ていた。

橙色をした新品の服を。

袖と裾は手足に合うように。

でも全体的に大きめに。

上着の裾は五本に分かれている。

布はゴワゴワしておらずむしろ柔らかい。

でも分厚い。

よくわからない材質だった。


手をぐるぐると回し、蹴り上げる。

動く上で支障がないことを確認してから神官にお礼をする。

これは慈善事業である。

お礼は大切なのだ。


今日からダンジョンに潜る。

ダンジョン前の噴水広場にいく。

そこには何度も夢見た光景が広がっていた。

広場に沿って並ぶ露天。

ダンジョンへと続く巨大な門。

そして色とりどりの防具、大小様々な武器を身につけた《サーチャー》。

僕も今、その光景の中にいるのだ。


何度も憧れた風景に。


ここがゴールだと思っていた。

人生の目標はここに立つことだった。

でも違う。

これはスタートなのだ。

僕の《サーチャー》人生の。

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