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4S  作者: 半信半疑
99/101

98 お魚くわえた消える猫

 波の音と共に、潮風が頬を撫でる。

 悲しくなると海を見に来るのは、昔からの習慣だった。


「はぁ…」


 今回の悲しみのもとは、失恋だ。詳しくは書くまい。

 ぼーっと波しぶきを見ながら過ごす。

 月光を反射する海はとても綺麗で、それだけで痛みが和らぐような感じがした。


「にゃーお」

「?」


 後ろから猫の鳴き声がしたので振り返った。そこにいたのはやはり猫だった。

 巨大なマグロを口にくわえた、普通サイズの猫だった。

 猫はじっとこちらを見ている。

 僕も負けじと猫を見つめる。

 しばらくそのまま視線を交わしていると、猫は突然消えていった。まるで蜃気楼のように、すぅっと。跡形もなく。

 けれども、くわえていたマグロはぴちぴちと地面で跳ねている。


「ふ、ふふ、くっくっく」


 僕は意味の分からない現状に笑ってしまった。

 胸の痛みが少し和らいだ。


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