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79 悪口ではない、◯口だ
「母さんのカレーってさ、何か大雑把だよね」
一家団欒の夕飯時。
スプーンでカレーライスを掬いながら、長男の和夫がそう言った。
「もう少しこだわってもいいと思うんだ、うん」
こだわれって言われてもねぇ…。
「そうね、確かに大雑把かもしれないわ」
私が不満顔を浮かべていたら、長女の里穂が和夫に賛同しだした。
ブルータス、お前もか…。
「まいはねー、おかあさんのかれーすきだよ?」
「俺も好きだぞ」
ふはは、聞いたか? 長男長女よ。夫と次女は私の味方だ!
「しかし、もう少し美味くできるかもしれないな」
「おやさいはやーかも」
孤立無援、四面楚歌。
我が家族のカレーに対する姿勢が、辛口すぎて辛い…。




