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7 ハッピーリング
私は偉大なる発明家。今までは、頭に【自称】と付いていた。
しかしこの度、世紀の大発明をしたことにより、正式に偉大な発明家と相成った。もう誰にも、発明家気取りの痛い人とは呼ばせない。
うん? その世紀の大発明は何ができるのか、だって?
ふふふ、聞いて驚け。何と、その発明品は何でも幸せにすることができるのだ!
名付けて、【ハッピーリング】。
完成するまでにおよそ三十年の月日をかけた、我が人生最高傑作である。
使い方は簡単。リング状のその装置を腕にはめ、幸せにする対象を声に出し、装置に入力するだけ。とっても簡単、お手軽設定。
さっそく使ってみることにしよう。
最初だから、ここはひとつ、どでかい幸せを作ってみせようじゃないか。
「そうだな…では、世界を幸せにしてくれ」
そして人類は滅亡した。
どうやら、世界の幸せに、人類は必要ないらしい。