75 装備魔法「カチューシャ」
ファミレスの一角に男二人。
昨日の夜から話し続け、無言の時間が幾ばくか過ぎた後。
朝がようやくやってきて、俺たちの眠い眼を明るく照らした。
一限の講義の為に頭を起こそうとしていると、本田がぽつりと言った。
「カチューシャ女子って、どう思う?」
「はっきり言って、良いと思う」
俺は即座にそう返した。
「だよな、条之内もそう思うよな」
「あぁ。しかし、あれは選ばれし者にしか装備できない代物だ」
「そうだな。下手をすれば、違和感しかないからな」
「違和感というか、異物感だな」
身に付ける者を選ぶんだ、カチューシャってやつは。
「その点、うちの妹は絶対似合う」
「静香ちゃんか…。そりゃ、あの子は似合うだろうな」
あたりまえだ。静香はもはや、似合う似合わないの領域を超えているんだ。
いうなれば、そう、あいつは女神って奴だ。
完全無欠の女神さまなんだ。
「あ、いたいた。本田君に条之内君、おはよう」
語り合っているうちに、結城がやってきた。
昨日の夜、電話で約束をしていたのだ。一限の講義は一緒に向かおう、と。
「おぉ、結城。おは…」
そこまで言って、俺は言葉を失ってしまった。
結城が、結城がカチューシャをしている。
「あぁ、気づいちゃった? そうだよね、気づかないはずがないよね…」
安子に無理矢理つけられちゃってさ、なんて言う結城。
「おい、本田」
「あぁ、条之内」
カチューシャは人を選ぶが、こいつは…。
「「アリだな…」」
遊戯王の香りがする?
ワイトもそうおも……
いや、わからん。ぜんぜんわからん(´・ω・`)




