6 骨付き肉
会社の先輩が、住んでいる部屋に招待してくださった。
先輩とはゲーム仲間だ。同じゲームのフレンドで、たまに一緒にプレイをしている。
そのおかげで仲良くなり、こうして休日に遊ぶようにまでなった。
「高木君。君に一つ聞きたいことがあるんだけど」
「はい、何でしょう」
「君は、漫画に出てくるような骨付き肉を食べたことがあるかい?」
「骨付き肉ですか? うーん、生憎ないですね。普通のサイズならありますが」
「そうだよね。漫画のヤツはサイズがおかしいものね」
僕は、某海賊漫画のヤツを思い浮かべた。あの大きさは、絶対食べるのに苦労するわ。自分の体以上もある肉なんて、食べ切れるはずもない。胃もたれするとか、そういうレベルじゃない。
「実際に目の前にあったとしても、食べるのは躊躇してしまいますよ。美味しそうだな、くらいは思いますけど」
「だよね~。俺も心は踊るけれど、いざ食べようとなると無理だわ。途中で残してしまうのが目に見えるし」
「いきなりこんな話になったのは、コレをやっているからですか?」
言いつつ、僕はボタンを操作して生肉を焼く。
『上手に焼けました~』
ウルトラにはならなかった。
「そうだよ。あんまり大きすぎるのはアレだけど、これだったら食べれそうだなって思って」
「このくらいの大きさだったら、無理すれば食べ切れるかもしれないです」
画面の中の肉を見て、僕はそう言った。
「ま、彼らに食べてもらうので満足だな、俺は」
「同感です」
画面の彼らは、ポンポンと自分のお腹を叩いている。
スタミナが上昇した。僕たちの仲も良くなった。
今度、焼き肉にでも誘ってみようかな。
今回の内容は、某狩猟ゲームをネタにしています。