50 成長に伴う痛み
冒険者風味、叫び声を添えて。
「ぐわぁー!」
静かに眠っていた朝、そんな叫び声で私は起こされた。
「もう、一体何よ…」
昨日は盗賊狩りをやったから結構疲れているのに。
私は(仕方なく)、確認のために声のした方へと向かった。
発生源は、二階だ。おそらくあの子だろう。
昨日の経験は、心だけでなく肉体にも影響を及ぼしたのだと思う。
魔法を使ってかなり無茶な動きをさせたからなぁ。
部屋のドアをノックしてもしもーし。
「アマリア、うるさいわよ。静かに寝なさい」
すると中から聞こえる騒がしい声。
「ジュリアさんですか!? 何か、体中がすごく痛いんですけど!?」
「当然よ。強化魔法を重ねがけしていたからね。反動で筋肉が悲鳴をあげてるんでしょうよ」
「こんなことになるなら、先に言ってくださいよ!」
「そしたらあなた、私の魔法を受け入れなかったでしょう?」
「当たり前でしょう!」
面倒くさいわね。生きていたんだから良いじゃないのよ。
「あぁ、もう、うるさいわね。その調子じゃ今日は動けないでしょうから、ベッドの上で静かに過ごしてなさい」
アマリアにそう言い放って、私は一階の自室に戻った。
後ろで何か聞こえた気がしたけれど、幻聴でしょう。
観念しなさい、アマリア。
成長には痛みが伴うのよ。




