4 エンドレスナイトメアゲーム
チャイムが鳴り、沈んでいた意識が浮上していく。
目を開けると、帰りのホームルームはすでに終わっていた。教室に残っている人は、少ない。私は大きく背伸びをした。
解放感に包まれた後、一刻も早く下校するために、帰り支度を急いだ。
今日は待ち望んでいた新作ゲームの発売日で、帰りに予約していたものを取りに行く予定だった。
◇◆◇
それがどうだ。気づくと、私は宙に浮いていた。半透明な姿で。
いや、「気づくと」なんて言葉は事実を誤魔化している。実際はこうだ。
新作ゲームを受け取った後、浮かれすぎて赤信号を渡り、車に撥ねられた。
マヌケだ。マヌケがいる。もっと周囲に気を配るよう、日頃から何度も母に注意されていた私だ。それなのに事故に遭うとは、とんだマヌケである。
そして今現在、霊体のような感じで、事故現場の空中に留まっていた。自分の肉体がどうなっているのか見たが、描写は控えさせていただこう。代わりといっては何だけど、購入したゲームの状態でも簡単に描写しておく。
粉々。粉砕。
プレイする日を楽しみにしていたのに。私はとても悲しくなった。
悲しくなって、涙が出て、目をつぶる。
すると、徐々に意識が薄れていった。
あぁ、天国か地獄にでも行くのだろうか。せめて、ゲームをプレイしたかっ……。
◇◆◇
チャイムが鳴り、沈んでいた意識が浮上していく。
目を開けると、帰りのホームルームはすでに終わっていた。教室に残っている人は、少ない。私は大きく背伸びをした。変な夢を見た気がするけれど、気のせいだろう。
さて、新作ゲームを取りに行くとしよう。
「ニュー……ム、ス……ト」
隣の席の山田が何事かを囁いたのが聞こえた。しかし、残念ながらよく聞き取れなかった。
昼間の夢は、いつまでも覚めない、悪夢のごとく。