43 朝の占い、疑
いつもの時間に目が覚めた。
手早く身支度を済ませ、朝食を摂る。
テレビを付けるのは、部屋が静かすぎるからだった。
『皆さんお待ちかね、朝の星座占いのコーナーです』
トーストに噛り付いていると、そんな声がテレビから聞こえた。
「占いか……」
先ほど口に含んだものを咀嚼しつつ、何ともなしに眺めることにした。
『…最後に牡羊座の方、ごめんなさい12位です。
思わぬ怪我をしてしまいそう。足元には注意してください。
ラッキーカラーは赤色です』
私の星座はいつ出てくるだろうと待ち構えていたら、最下位だった。
しかも怪我をする可能性があるという。
「馬鹿馬鹿しい…」
所詮、占いだ。気にしなくていいだろう。
朝食をきちんと食べ終え、テレビの電源を切る。
それから、準備を済ませて家を出た。
いつも通りの出勤風景だった。
◇◆◇
思い返せば。
疑っていても良いから、赤色のものを身に付けるべきだったのかもしれない。
まぁ、今更言っても後の祭りなんだがね…。
……結局、その日、私は駅の階段を転げ落ちてしまった。
打ち所が悪かったのか、意識がだんだんなくなっていくのが分かった、
感じていた寒気がどんどん強くなって、私は目をつぶった。
「あぁ、寒いな……」




