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4S  作者: 半信半疑
39/101

38 栞

 お風呂から上がって、日課の読書を楽しんでいた時のこと。


 一冊目の区切りがいいところで、本を閉じた。

 手は二冊目へと伸び、物語の扉が開いた。


 ハラリ。


 挟めていたしおりを抜き取ろうとした時、きちんとつまんでいなかったのが悪かったのか、しおりは指の隙間からこぼれ落ちてしまった。


「あら、あら」


 床に落ちたはずのしおりを探すために、身をかがめる。

 別に、そこまで大事にしていたわけでもない。本屋で数冊購入した際、店員が入れてくれたものだ。限定品というわけでもないので、想いれもなかった。


 でも、読み進めた場所を示してくれるしおりは必要な物だ。

 他にもいくつか持っているけれど、何だか「探すべきだ」という考えに憑りつかれてしまい、足元を探した。


 けれど、落ちたはずのしおりが見つからない。手から落ちたのだから、私の足元にあるはずだ。なのに、いくら探してもしおりは出てこない。


 結局、それから三十分ほど、しおりの捜索に費やしたけれど、遭難したしおりは見つからなかった。


 私は、


「しおりは別の次元に落ちたんだ。それで、本当に必要とする人の元へ旅立ったのだ」


 そう思うようにした。


 たまに思い出して、再び捜索を試みる。でも、やっぱり見つからない。

 あのしおりは、新しい主人の元で元気に暮らしているかしら。


 そうして今夜もまた、私は本を読み始める。

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