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35 シャボン玉とんだ
「シャボン玉の歌があるだろう?」
「ん?」
真面目ぶった顔つきで、吉田がいきなりそんなことを言った。
また、いつもの病気が始まったのかもしれない。
「屋根まで飛んだシャボン玉は、見てしまったんだ。
分かってしまったんだ………。
だから割れた。知りすぎたんだよ」
やはり病気だった。
「お前それ、捻じ曲げすぎだろう」
「ばっかお前、シャボン玉先輩はツヨイんだぞ。
その先輩が割れてしまう状況なんて、考えてみても恐ろしいじゃなイカ…」
あぁ、思考が変な方向にイっているな。こんな時は、適当に話を合わせるに限る。
「そ、そうだったなぁ。確かにシャボン先輩はツヨイ。ダイヤモンド並みの硬度を持っているのに割れるなんて…」
「何を言っているんだ? ダイヤモンド先輩の方がツヨイだろ。そこ間違えんなよ」
どうやら、こいつとの付き合い方を考え直す必要があるようだ。
知ってるか?
ダイヤモンドはハンマーで砕ける。




