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2 夏休みの宿題
ボクの目の前には、担任の山田先生がいる。
教室の中は夕日で赤くなっていて、ボクと先生以外だれもいない。
山田先生はボクの顔を見つめながら、真面目な声で話し始めた。
「これは、実際にあったことをあなたが記録したものですか?」
ボクの目の前につき出された、一さつのノート。
それは、夏休みの宿題の一つである、日記帳のノートだった。
何も言わずにぼうっと立っているボクに、先生は続けて話しかける。
「君の日記を見ると、全く同じような文章ばかりが並んでいる。本当にきちんと書いたのか、先生はぎ問をいだいています」
でも、そういう毎日だったのになぁ。ボクがすごした、今年の夏休みは。
だから、先生に言ってやった。
「先生だって、かわらない日々をすごしたことがあるでしょう?
ボクの場合、それが今年の夏休みだったんですよ」
先生のポカンとした表じょうが面白くて、ついつい笑ってしまった。
変化が少ない日々もまた、日常であると思います。