28/101
27 メシの顔
『
二人で外食するのは、久しぶりのことだ。
「ねぇ、今夜はどこに行きましょうか?」
隣に居る妻が、ワクワクした顔で聞いてきた。
何だかいつもより興奮しているようだけど、どうしたのだろう?
「え? だって、あなたと一緒にどこかへ行くなんて、最近はあまりなかったから…その、嬉しくて…」
赤く染まった頬に手を当てて、体をもじもじさせる妻。
そんな顔をされると、こちらも照れてしまうな…。
「そ、それよりどこに行きましょうか? 行くなら、美味しいところがいいですねぇ」
そうだな、美味しいものを食べて、そしてお腹を満たしたら、
「その後は、別の欲求も満たしたいな…」
「まぁ!」
またもじもじする妻。
はは。本当に可愛いな、俺の妻は。
』
「という妄想をしながら昼飯を食べている、俺の顔は?」
「メシの顔だな」
同僚の悲しい事実を知ってしまった日の午後、俺はもう少し優しくしてやろうと思った。
とりあえず、弁当の梅干しを分けてやろう。




