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26 落下する夕方の
「もしもすべてがうそで~、ただつじつまあわせで~」
会社の屋上で一人、休憩がてらに黄昏れつつ、歌を口ずさむ。
そういう気分だったのだ。分かるだろう?
沈む夕日を見ながら、その赤に酔いしれた。
右手に持った、温かい缶コーヒーを飲み干す。
ため息が一つ、口から漏れた。無意識だった。
苦みが、ここは現実だと教えてくれている。
そうだ、ここは現実だ。今、俺が立っているこの場所は、『本当』が積み重なってできた現実だ。
だから俺は、飛び降りる幻影に別れを告げる。
「俺は、ここで、生きていくよ」
落ちていく彼が、笑っているように見えた。
乙一さんの小説に、『死にぞこないの青』というのがあってだね…。
最初の歌詞は、the pillowsさんの『ストレンジカメレオン』から。




