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24 キスショット
彼氏が小説を読んでばかりいて、全然構ってくれない。
「吸血鬼の少女が可愛いんだなー、これが」
なんて名前なのか聞いてみると、変な名前だった。
キスを打ちこむだとか、アセロラのオリオン座だとか、刃の下に心ありだとか。
私の彼氏は頭がおかしくなったのだ、と一瞬疑ってしまった。
普通、二次元の少女よりも三次元の彼女でしょうが!
私は憤慨した。
だから、小説を読むのを妨害するように、ずっと話しかけてやった。
なのに、返事は上の空。物語に没頭しているのだろう。
ふーん、そっちがその気なら、こちらにも考えがあるわ!
私は、静かに彼の横へ近寄った。
そして、彼の顔を強引に本から引き離し、とぼけた彼の唇にキスをした。
濃厚なやつを何度も喰らわせてやった。
どうだ! これが本当のキスショットだ!
彼は、本を読むのをやめてくれた。
好きです、物語シリーズ。
刀の方も。




