20 ポケットを叩くと
平仮名多めなので、少し読みにくいかもしれません。
こうえんであそんでいると、おかしなおじさんがきた。
「はーい、今から手品を見せるよー」
ボクはきになったので、チラリとみてみた。
おじさんのみぎてには、一枚のビスケット。
「このビスケットをズボンのポケットに入れます。そして…」
おじさんはビスケットをポケットにいれると、いきなりパンパンとたたきだした。
あんなにたたいたら、ビスケットはこなごなになっているはずだ。
でも、ボクのかんがえとはちがって、ビスケットはこなごなになっていなかった。
それどころか、にまいめのビスケットがでてきた! なんで!
「はーい、ビスケットが二枚になりましたー。では、もう一度ビスケットをポケットに入れて…」
そして、おかしなおじさんは、にまいのビスケットをポケットにいれてたたきだした。
も、もしかして…。
「はーい、ビスケットが三枚になりましたー」
な、なんというマジックだ! これをすれば、おやつがふえるぞ!
おかしなおじさんはそのあと、おなじようなことをなんどかくりかえした。
ビスケットは、たたくほどふえていった。
おじさんがかえったあと、ボクはいえにすぐかえって、おかしおきばからビスケットをとりだし、おじさんとおなじことをした。
でも、ポケットのなかにあったのは、こなごなのビスケットだった。ボロッボロのビスケットだった。
ボクは、かなしくなった。
こなごなのビスケットをたべながら、ボクはこころにきめた。
もうにどと、ビスケットをポケットにいれてたたかない。
そして、おかしなおじさんはしんじない。




