1 ナイフとフォークとスプーン
Ⅰ:ナイフとフォーク
ナイフは言いました。
「俺は触れるもの全てを切り裂くぜ」
フォークは言いました。
「私は触れるもの全てに突き刺さります」
ナイフは言い返しました。
「俺だって突き刺さることくらいできるさ」
フォークも負けじと言い返しました。
「私だって切り裂くことくらいできます」
二人は、ぐぬぬと唸りました。
Ⅱ:フォークとスプーン
フォークは言いました。
「私は巻き取ることができます」
スプーンは言いました。
「あたしは掬い取ることができるよ」
フォークは言い返しました。
「私だって掬い取ることはできます」
スプーンは言い返しました。
「それがスープみたいな液体でも?」
フォークは力なく言いました。
「…それはできません」
Ⅲ:ナイフとスプーン
ナイフは言いました。
「俺は触れるもの全てを切り裂くぜ」
スプーンは言いました。
「あたしは掬い取ることができるよ」
ナイフは言い返しました。
「俺だって掬うことはできるさ」
スプーンは言い返しました。
「それがスープみたいな液体でも?」
ナイフは力なく言いました。
「…それは…できないな」
おしまい。