100 悲しきタンゴ
「暇だから単語ゲームしようぜ」
「タンゴ? 踊るの?」
黒猫のタンゴでもボクには難しいんだけど…。
「言葉の方の”単語”だよ」
「そっちね」
「交互に答えていって、十秒以内に答えきれなかった方の負けだ」
「ほうほう」
「お題は、そうだな…”悲しい単語”はどうだ?」
悲しい単語ねぇ。
「例えばどういう感じ?」
「うーん、”後退する生え際”とか?」
そういう方向性ね。
「おーけー」
「じゃあお前からな」
「えー? まぁいいけど。うーん…」
…そうだ。良いことを思いついた。
関係のない言葉を返すのも物足りないから、ちょっと遊んでみよう。
「では、”ひとりぼっちの準備体操”」
「それじゃあ、”巨額の借金保証人”」
「”落ちない腋染み”」
「”当たり障りのない称賛”」
「”地獄の口臭”」
「”とどのつまり残念”」
「”三丁目の耳くそ”」
「おい! さっきから聞いていれば、全部オレのことじゃねぇか!」
「あ、分かった?」
「わからいでか! 人の傷口を抉るんじゃねぇよ!」
「………」
「おい、何とか言えよ!」
「十秒経ったから君の負けだね」
「ちくしょー!」
失礼な、ボクは”畜生”じゃないぞ。”血も涙もない人間”だ。
いやー、それにしても、彼をいじるのは楽しいなぁ。
これまで長々と続いてきた『4S』も、今回で最終回です。
悲しいことですが、始まりがあれば終わりもあるのです。
それではみなさん、さようなら。
次回作、『4S2』でお会いしましょう。
(-ω-)ノシ




