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99 神器、矛と盾
ある商人が道端で物を売っていた。
しばらくすると、声に惹かれて客が寄ってきた。
「さぁさぁ、この矛はいかがか! この矛は貫けぬものなしだぞ!」
商人は矛を売りたがったが、その他にも売るものがあった。
「さぁさぁ、この盾はいかがか! この盾を貫けるものなしだぞ!」
矛と盾の売り口上を聞いていた客の一人が、商人に聞いた。
「じゃあ、その矛でその盾を貫くことはできないし、その盾でその矛の攻撃を防ぐことはできないのか?」
商人は溜め息まじりに言った。
「やっぱりそう思うか…。では、真実をお見せしよう」
商人は矛で盾を思いっきり突いた。
直後、世界に光が溢れた。矛と盾の様子を見ていた者は、誰一人の例外なく、視界を白く染められた。
光がおさまった後、つまり矛と盾が離れた後、商人は客たちに言った。
「お分かりか? 誰もその瞬間を見ることは叶わないのだ。この武器たちは、世界に干渉する。つまり、神器なのだ」
「オー、ファンタスティック」